2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592879
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
菊地 聖史 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50250791)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 正敏 東北大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (50400255)
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Keywords | 歯科理工学 / 医用ロボット / 切削・研削加工 / 歯科CAD/CAM / 歯牙切削 |
Research Abstract |
平成24年度は、初年度に引き続いて装置やプログラムの設計と試作を進め、特に自動形成時の送り速度の自動制御機構について動作検証を行った。従来のハンドピースによる形成においては、注水下、軽荷重で、間欠的に行うのがよいとされているが、適切な送り速度の明確な基準はない。間欠的な切削により、切削熱の歯髄への影響が低減されると考えられ、また、一度に削り過ぎないようにするためにも、手作業による形成では間欠的に行わざるを得ないと思われる。自動形成においては、効率の点から連続切削が適していると考えられる。切削熱は切削動力に起因するので、切削動力を低く抑えれば、連続切削でも切削熱の問題を回避できると考えられる。しかし、切削動力を抑えるために送り速度を遅くすると、切削に要する時間が長くなってしまうという問題がある。そこで、本研究では、切削負荷に応じて送り速度を自動制御することで、切削熱の問題と切削時間の問題を両立させることを試みた。具体的には、エアタービンの無負荷状態からの回転数の低下から切削動力を推定し、それが目標値に近づくように送り速度を自動制御するものとした。送り速度の自動制御を行わずに一定とした場合、切込み量が大きくなるなど負荷が増加すると、工具の回転や自動送りが止まってしまうことがあった。しかし、自動制御を行った場合は、負荷に応じて送り速度が変化し、負荷が増加しても装置が止まることはなかった。この結果から、自動形成における送り速度の自動制御の有効性が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年3月11日に発生した東日本大震災によって、装置の試作に不可欠な工作機械が壊れて使用できなくなり、それらの復旧に時間がかかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、試作した自動形成装置やプログラムの動作検証と評価を中心に行う。具体的には、(1)印象用トレーとボールジョイント、自在アームによる、口腔内の形成対象歯に対する口腔外の切削装置の位置決めと固定を行う装置、(2)口腔内カメラとタッチプローブによる形成対象歯の形状測定装置、(3)エアタービンと自動ステージによる切削装置、(4)緊急停止スイッチや患者の動きを検出する複数のセンサからなる安全装置について調整や校正を行い、動作検証と評価を行う。また、プログラムについては、(1)形成対象歯の形状を取り込むプログラム、(2)取り込んだ形状に基づいて形成形状を設計するプログラム、(3)設計した形成形状から工具経路を計算するプログラム、(4)得られた工具経路に基づいた切削装置の制御と安全装置からの信号処理を行うプログラムについて動作検証とデバッグを行い、アルゴリズムや自動制御パラメータの最適化も図る。歯科用マネキンの歯列に対して試作装置を装着し、形状測定と設計、自動形成を試みることで、システム全体として意図したとおりに動作するか検証する。また、設計した形成形状と切削された形状を比較し、設計どおりに切削されているか、切削面性状はどうかなどを評価する。さらに、安全性や操作性、形成の所要時間など、臨床の視点からも検討し、問題点があれば装置やプログラムの改良、切削条件の最適化などを行う。最後に本研究の総括を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、当初計画していた装置の試作が東日本大震災の影響により一部遅れているために生じたものであり、平成25年度請求額とあわせて使用する予定である。
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Research Products
(1 results)