2012 Fiscal Year Research-status Report
Wntシグナル制御下に培養した幹細胞由来成長因子による新規骨再生医療
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23592883
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 渉 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (10437030)
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Keywords | 骨再生医療 / 幹細胞 / 培養上清 / 成長因子 / Wntシグナル |
Research Abstract |
骨髄由来間葉系幹細胞(MSC)の培養上清(以下MSC-CM)中に含まれる成長因子(にはVEGF、IGF-1、TGF-β1、HGF等が含有されていた。MSC-CMはヒトやラットMSCの遊走能、増殖能させた。Wntシグナルを活性化させる塩化リチウムの存在下で培養を行ったところ、さらにMSCの遊走あるいは増殖能は亢進した。またヒト臍帯静脈血管内皮細胞を用いた血管新生アッセイにおいてもMSC-CMは血管新生能 を亢進させた。さらにMSC-CM存在下に培養したヒト、ラットMSCではアルカリフォスファターゼやオステオカルシン、vegfやAng1といった骨形成、血管新生関連遺伝子の発現も亢進した。 次いで、ラットを用いた移植実験をおこなった。ラット頭蓋骨に直径5mmの骨欠損を作成し、アテロコラーゲンとともにMSC-CMを移植したところ、コントロール群に比べ移植後2、4週いずれにおいても有意に骨形成の増加を認めた。さらに血管造影を行ったところ、MSC-CM群では新生血管の伸長、およびその周囲での骨再生が確認された。蛍光色素であるQdotを付着させたMSC-CMを同モデルに移植したところ、MSC-CMは移植後数日で移植部より消失していることがわかった。移植後1日、3日、1週と免疫組織学的に移植部での細胞の動態を観察したところ、移植後3日頃より周囲より内在する幹細胞の遊走が起こっていることが確認された。さらに1週間後では血管内皮細胞の遊走、あるいは血管新生が認められた。 以上のことから、本法による骨再生は内在性幹細胞を誘導する骨再生法であることが確認され、さらに血管の構築が伴うこと、Wntシグナルを操作することによりこれらの効果が増強される可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
MSC-CMによる骨再生のメカニズムの解析を行なってきた。その結果、早期からの周囲幹細胞の遊走および血管新生がその中心的役割を担っていることが明らかとなった。これらの細胞の働きは古典的Wntシグナル伝達経路が深く関与している可能性も示唆された。 また様々な臨床を念頭に置いた疾患モデルにて移植実験を行い、実用化への目処もついた。
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Strategy for Future Research Activity |
MSC-CMによる骨再生およびそのメカニズムについて当初予定どおりに検討が進行した。今後はWntシグナルの賦活を含めた、細胞培養および投与指摘条件の検討を中心に行なっていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主として動物実験および成果発表に充当される。
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Research Products
(7 results)