2013 Fiscal Year Annual Research Report
Wntシグナル制御下に培養した幹細胞由来成長因子による新規骨再生医療
Project/Area Number |
23592883
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
片桐 渉 名古屋大学, 医学部附属病院, 助教 (10437030)
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Keywords | 骨再生医療 / 歯周組織 / 液性因子 / 幹細胞 / 培養上清 |
Research Abstract |
骨髄由来間葉系幹細胞の培養上清(MSC-CM)にはパラクライン因子として様々な液性因子を含んでおり、これまでの検討でIGF-1、VEGF、TGF-β1、HGFなどが含まれていることが分かっていた。さらにMCP-1、IL-6、M-CSFなど骨再生だけではなく、マクロファージ遊走や抗炎症、抗アポトーシスに関連する因子を含むことが分かった。 MSC-CM存在下で培養したMSCは骨形成関連遺伝子(アルカリフォスファターゼ、オステオカルシンなど)や血管新生関連遺伝子(Ang-1、Ang-2など)の遺伝子発現を上昇させることも分かった。 in vivoではラット頭蓋骨骨欠損モデルにおいてMSC-CMの移植を行うと移植後2週という早期から血管新生を伴う周囲内在性幹細胞の動員が起こり、骨形成が起こることを免疫組織化学的に確認した。さらに疾患モデルとしてラット歯周組織欠損モデルでは歯槽骨のみならずセメント質、歯根膜といった歯周組織の再生も確認された。頭蓋骨骨欠損モデルあるいは歯周組織欠損モデルに於いては組織学的に炎症細胞浸潤が軽微であることが示され、さらにビスホスホネートを用いた顎骨壊死モデルにおいては破骨細胞のアポトーシス抑制などから顎骨壊死の治癒を導くことができる可能性があることも確認した。すなわちMSC-CMは単純に骨再生能に優れているだけではなく抗炎症、抗アポトーシス効果等、MSC-CM移植部において再生環境を整える役割を担うことが示唆された。 MSC-CMに存在する液性因子の中から特に骨再生に重要と考えられるリコンビナントサイトカインを使用しその組み合わせによりMSC-CMと同等の骨再生能を有するサイトカインの組み合わせについても検討し、歯周組織再生のための条件の最適化を行った。歯周組織再生および移植部での抗炎症作用を兼ね備えた新規薬剤として有用である可能性が示唆された。
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Research Products
(5 results)