2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯根膜付きチタンインプラントの実現を目指したチタン表面へのECMの固定研究
Project/Area Number |
23592897
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Research Institution | Iwate Medical University |
Principal Investigator |
齋藤 設雄 岩手医科大学, 歯学部, 講師 (70137537)
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Keywords | 歯根膜付きチタンインプラント / 表面処理 / 金蒸着 / アルカンチオール / ぬれ性 |
Research Abstract |
歯根膜付きチタンインプラントを作製するうえで、基板へのタンパク質の固定は必須である。金属チタンにタンパク質を固定化する方法として、チタン基板にアルカンチオールを結合させるため、金蒸着処理が有効であることがXPSならびにFTIRによる表面分析から明らかとなった。今年度はその有効性をさらに裏付けるため、液滴法によるぬれ性試験により検証した。サンドブラストにより粗面処理を行ったチタン板をアセトン、硝酸、蒸留水にて超音波洗浄後、イオンコーター(10 mA, 10 Pa)にて、金蒸着を施した。コントロールとして、サンドブラスト後金蒸着を施さない未蒸着チタン板を使用した。未蒸着および金蒸着済みのチタン板とこれらを2 mMアルカンチオール(12-mercaptododecanoic acid: Aldrich)エタノール溶液に2時間浸漬後、エタノール、蒸留水の順に洗浄、乾燥させたものをぬれ性試験に使用した。その結果、未蒸着および金蒸着チタン板の接触角はそれぞれ55.0°、99.4°でアルカンチオール浸漬によりそれぞれ76.0°、59.5°を示した。この結果から、未蒸着チタン板ではアルカンチオール浸漬によりぬれ性が低下した。これはアルカンチオールがチタン板に結合しないため、アルカンチオール分子が寝そべった状態で配列し、疎水性のメチレン基が表面に向いているためと考えられる。一方、金蒸着チタン板ではアルカンチオールが金と結合し、アルカンチオール分子が立った状態で配列しているため、末端のCOOH基が表面に向いているため親水性となり、ぬれ性が向上したと考えられる。本試験により、金蒸着チタン板表面にアルカンチオール分子の結合が認められ、チタンへの金蒸着の有効性が再確認された。
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