2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯髄幹細胞の象牙芽細胞への分化に関与する遺伝子群の情報ネットワークの解明
Project/Area Number |
23592903
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
筒井 健機 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (00097065)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 朋子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10548283)
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Keywords | ヒト歯髄幹細胞 / 石灰化能 / 脂肪分化能 / 多分化能 / DNAマイクロアレイ |
Research Abstract |
歯髄幹細胞の分化に関与する遺伝子の発現をシングルセルレベルで解析するため、ヒト歯髄由来の初代培養細胞より単離した50個のクローンを長期間継続培養した。平成23-24年度には、各クローンの幹細胞マーカーの発現、増殖能、および多分化能を解析した。 平成25年度は、各クローンの分化能と網羅的遺伝子発現を関連付けて解析し、歯髄幹細胞の分化に関与する遺伝子群を調査した。石灰化能(osteogenic:O)、軟骨分化能(chondrogenic:C)、脂肪分化能(adipogenic:A)の3分化能を解析したクローンの中から、石灰化能と軟骨分化能、脂肪分化能を有する細胞(OCA)を3クローン、石灰化能と軟骨分化能を有する細胞(OC)を1クローン、石灰化能のみを有する細胞(O)を1クローン選出し、これらのクローンにおける遺伝子発現の違いと分化能との関連を解析した。その結果、OCAとOC、OCとO間の比較では、細胞周期や細胞増殖関連遺伝子が主に変動していた。また、WntシグナルパスウェイやNotchシグナルパスウェイ関連の遺伝子がいくつか大きく変動することが判明した。さらに、OCAとOC、Oの順に発現が下降する遺伝子には糖代謝関連遺伝子等が多く、OCA、OC、Oの順に発現が上昇する遺伝子では細胞周期や分化関連遺伝子等が変動していた。すなわち、多分化能を有する間葉系幹細胞様クローンでは細胞分裂関連遺伝子が多く発現変動し、エネルギー代謝が活発なこと、分化能がより限定されたクローンでは分化関連遺伝子の発現が変動することが示唆された。これらの結果を岡山で開催された第55回 歯科基礎医学会学術大会で発表した。 研究開始当初の目的では、in vitroの実験系に加え、in vivoの実験系として、一部のクローンをヌードマウスへ移植し、象牙質を伴う歯髄様組織を形成させることを目的としたが、歯髄様組織の形成の実現には至らなかった。
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Research Products
(1 results)