2012 Fiscal Year Research-status Report
スキャフォールドフリーによる組織再生のための骨膜細胞ニッチの制御
Project/Area Number |
23592908
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
秋山 真理 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (60340618)
|
Keywords | 質量分析 / スキャフォールドフリー |
Research Abstract |
本研究の目的は、プロテオーム解析により、骨膜細胞ニッチ(周辺微小環境)形成のプロセスを明らかにすることである。そのために、培養上清からタンパク質を採取し、MALDI-TOF-MSとLC-MSMSの2つの質量分析装置を用いてタンパク質の同定を試みた。まず、MALDI-TOF-MSの測定によって、培養上清中には従来明らかになっていたタイプ1コラーゲン以外に、非コラーゲン性タンパク質が含まれていることを確認し、その後LC-MSMSによって、非コラーゲン性のタンパク質のアミノ酸配列を調べた。オンラインでのデータベース検索により、測定によって得られたアミノ酸配列を含むタンパク質をターゲットタンパク質の候補として選び出し、抗体を用いて、ウエスタンブロット法で培養上清中での発現を、免疫組織学的に骨膜細胞周辺における発現を調べた。ウエスタンブロット法で発現していたタンパク質はタイプ1コラーゲンのみであったが、免疫組織学的に発現していたタンパク質はタイプ1およびタイプ3コラーゲン、UACA、EXOSC9、ベータ‐チューブリンであった。コラーゲン以外のタンパク質は、従来、知られていた骨再生に関与するタンパク質とは異なるため、新たな骨再生のメカニズム解析に役立つと考えられる。なお、免疫染色を行ったことにより、骨膜細胞はUACA、EXOSC9、ベータ‐チューブリンが含まれる領域とこれらのタンパク質を含まない領域に二分されることが分かった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ウシ骨膜細胞の培養上清からタンパク質を採取し、質量分析によって骨膜細胞に特異的に発現しているタンパク質、すなわち、UACA、EXOSC9、ベータ‐チューブリンを確認することができた。今後同様の方法を用いてスキャフォールドフリーでの骨再生に関与するタンパク質を、さらに特定することができる。タンパク質のプロテオーム解析の範囲は、培養上清だけでなく、細胞内や細胞周辺にまで広がり、骨再生のための新しいメカニズムが解明されつつある。なお、これまでの研究成果は現在査読中の論文にまとめられている。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの質量分析法で候補として挙げられたタンパク質のうち、未だ抗体を用いて発現を確認できていないタンパク質がいくつか残されている。生体に移植する前の培養シャーレ上で骨膜細胞特異的に発現している未確認のタンパク質を今後は明らかにする予定である。なお、タイプ3コラーゲン、UACA、EXOSC9、ベータ‐チューブリンはin vitroでは存在を確認しているが、in vivoでは役割がまだ分かっていないため、ヌードマウス皮下に骨膜細胞を移植し、骨再生過程におけるタンパク質の変化を解明する予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
|