2013 Fiscal Year Annual Research Report
免疫担当細胞を標的とした新たなBRONJ治療法の開発
Project/Area Number |
23592910
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
鄭 漢忠 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (80180066)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉村 善隆 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (30230816)
菊入 崇 北海道大学, 歯学研究科(研究院), 助教 (10322819)
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Keywords | 歯学 / 顎骨壊死 / ビスフォスフォネート製剤 |
Research Abstract |
ビスフォスフォネート(BP)系薬剤の服用者に発症する顎骨壊死(BRONJ)は、抜歯窩周囲の顎骨露出を伴う重篤な症状を呈する難治性の疾患である。2003年にMarxによって報告されて以来、BP系薬剤とBRONJの関連性を示す報告が多くなされている。しかしながら、未だにBRONJの発症機序については不明なままであり、そのため、BRONJの治療法あるいは予防法については、統一的な見解は存在していない。本研究は、BRONJの発症機序の解明と抗炎症薬によりBRONJの予防が可能であるかについて、実験マウスを用いて検討を行なった。 BP系薬剤のみ投与したマウスでは、抜歯窩は正常に治癒したが、卵巣摘出後にBP系薬剤と共に抗がん剤を投与した場合、抜歯窩が上皮で被服されず、歯槽骨が露出しているBRONJ様症状を発症した。BRONJを発症しているマウスを解析した所、胸腺の萎縮、血清中のIL-1α、IL-1β、IL-6、TNF-αなどのサイトカインの濃度の上昇、また、顎骨壊死組織周囲には好中球および顆粒球などの血球細胞の集積が認められた。以上の実験結果から、BRONJは免疫バランスの破綻と過剰な炎症反応の亢進によって引き起こされることが示唆された。そこで、抗炎症薬の投与によって抜歯窩周囲の炎症作用を抑制することで、BRONJの発症を緩和させることが可能であるかを確認したところ、肉眼的所見、軟X写真ならびに病理組織学的所見において、BRONJ症状が軽減していることが判明した。 以上の結果から、ヒト臨床においても、抗炎症剤の投与によってBRONJ発症の予防もしくは症状を軽減させる可能性が示唆された。
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