2012 Fiscal Year Research-status Report
軟骨再生を目指したCTGF/CCN2発現促進因子の同定とその応用
Project/Area Number |
23592922
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
森谷 徳文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60467751)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
久保田 聡 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90221936)
松村 達志 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70432648)
|
Keywords | CCN2 / C/EBP beta / C/EBP delta / グルココルチコイド |
Research Abstract |
前年度では軟骨細胞に副腎皮質ホルモンの1つである糖質コルチコイドが作用するとCTGF/CCN2と供に、CEBPB、CEBPD遺伝子の発現が促進されることが明らかとなり、CTGF/CCN2はCEBPB、CEBPDによって転写調節されている可能性があると考えられた。そのため、CEBPB、CEBPD 遺伝子のRNAiおよびDNA transfectionによる強制遺伝子発現の手法を用い、転写調節の有無を検索した。本年度では前年度に引き続き行った実験結果よりCTGF/CCN2がCEBPB、CEBPDによって発現調節されている可能性が示唆されたため、それをさらに確認するため細胞イメージアナライザーを用いて軟骨細胞様細胞株HCS-2/8細胞にCTGF/CCN2、CEBPB、 CEBPD遺伝子を導入して強制発現させ、細胞内での発現局在を調べた。その結果、CTGF/CCN2、CEBPB、CEBPD遺伝子が細胞内で同様の局在を示すことが示唆された。この結果よりCTGF/CCN2がCEBPB、CEBPDによって発現調節されている可能性がさらに示唆された。次にタンパク質レベルでCEBPB、CEBPDによるCCN2/CTGFの発現調節が行われるか否かをWestern blot法により検索した。その結果、CCN2/CTGFタンパク質の発現変化は明らかではなかった。この結果よりCCN2/CTGFはそのタンパク質発現までの過程においてCEBPB、CEBPDの因子が関わっている可能性が示唆された。今回の研究結果を元にCEBPB、CEBPDが直接CTGF/CCN2発現をコントロールしているメカニズムをさらに明らかにすることによって、CEBPB、 CEBPDを介してCTGF/CCN2をコントロールし軟骨の成長・分化を導くことが可能となり、これが軟骨再生への鍵となる可能性がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CEBPBおよびCEBPDの強制発現ベクターの作成が極めて困難であったことと、RNAiの実験系確立も困難であったため、その作成と実験系の確立に予想以上の時間がかかってしまったため。
|
Strategy for Future Research Activity |
1、 CEBPB、CEBPDを含め、CTGF/CCN2の発現促進に直接作用する遺伝子を同定し、それを新規のCTGF/CCN2関連因子(New CTGF/CCN2 related factor:以下、NCRFと略す)とする。2、 同定したNCRFの軟骨細胞での局在・動態・機能をin vitroで解析し、軟骨代謝における役割を解析する。3、 NCRFの軟骨細胞分化における役割をin vitroで機能解析する。4、 NCRFを介してCTGF/CCN2を特異的に誘導する分子(NCRF induced molecule:以下、NCRFimと略す)を探索する。5、実験動物でNCRFまたは4で見出された分子が軟骨再生機能を有するか否かを検証する。 NCRFまたはNCRFimを特定し得なかった場合、いったんグルココルチコイド(デキサメタゾン;以下Dexと略す)から離れ、これまでとは逆の戦略をとる。つまりCTGF/CCN2遺伝子発現を誘導する小分子化合物、orphan ligandライブラリーをスクリーニングしCTGF/CCN2を特異的に引き出す分子を同定する。得られた分子については、その作用メカニズムを分子細胞生物学的通法に従って解析する。それに並行して4、5で述べた方法論に基づき、その軟骨再生効果を検討する。この方法そのものはDexと無関係だが、新たに見出された因子による、軟骨細胞における遺伝子発現プロファイルの変化を、予備実験のDexのものと比較することはCTGF/CCN2をとりまくシグナルパスウェイに新たな知見を加える。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
前年度に研究の進行が遅れたことより、研究費使用にも遅れが生じ、研究費の一部を使用するに至らなかった。そのため、前年度で発生した研究費の残りは次年度に使用することとした。前年度に残った研究費と次年度研究費を合わせた、これら研究費は、消耗品として試薬、実験キット、DNA、RNA合成に使用する。旅費として、国内および外国で、資料収集のため研究セミナーへの参加と研究成果発表のため学会への参加に使用する。謝金等として、外国での研究発表や英語論文作成のため英文校正料と投稿料に使用する。その他、通信費、印刷費、複写費等に使用する。
|
Research Products
(4 results)