2012 Fiscal Year Research-status Report
自然免疫分子カセリシジンの腫瘍抑制効果に対するmiRNA制御機構の解明
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23592938
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
奥村 一彦 北海道医療大学, 歯学部, 講師 (60194510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小林 美智代 北海道大学, その他部局等, その他 (80316265)
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Keywords | 自然免疫分子 / LL-37 / 口腔扁平上皮癌細胞 / 浸潤性 / MMP-9 |
Research Abstract |
健常上皮細胞HaCaTでは、活性化ビタミンD3の刺激を受けてCAMP mRNA発現がみられるが、ヒト口腔扁平上皮癌細胞SAS-H1では、同様の刺激を行ってもmRNA発現はみられない。そこで、SAS-H1にCAMP遺伝子を強制発現させ、恒常的にhCAP18/LL-37を産生するCAMP/SAS-H1癌細胞を作製して腫瘍抑制効果の検討を行った。その結果、CAMP遺伝子導入によりアポトーシスが抑制されたが、上皮間葉移行関連分子を介して細胞浸潤性は低下した。また、基底膜浸潤で重要な役割を果たすMMP-9活性と mRNA発現が抑制されることが示された。 そこで本年度では、CAMP 遺伝子導入によるMMP-9 mRNAへの発現制御機構について検討を加えた。その結果、CAMP/SAS-H1細胞で観察されたMMP-9 mRNA発現の抑制は、MMPsの特異的阻害蛋白質であるTIMP-1とTIMP-2 mRNAの発現増強がみられた。さらにMMP-9の発現に関与する転写因子Ets-1の恒常的発現増強も観察されたことから、Ets-1を介したMMP/TIMPバランスの制御を受けていることが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
CAMP遺伝子導入によるMMP-9の活性とmRNA発現の抑制機構を解明することに、時間を要してしまったことと、本年度の研究結果において、MMP-9mRNA発現がEts-1を介したMMP/TIMPバランスの制御を受けていることが示唆され、分子機構の複雑性が新たに認知された。次年度中に、事業計画の残りを消化する様に努力したい。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度予定していたhCAP18/LL-37 抗菌ペプチドで誘導されるmiRNA分子種の解析を順次行い、検索された miRNA が既存細胞内シグナル分子をどの様に制御しているかを定量 PCR を用いて検討を行う。また、CAMP遺伝子導入癌細胞に置ける腫瘍抑制効果に関与するmiRNAについても検討を進めることを予定している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度繰越金:518,108円については、進捗が遅れている自然免疫分子関連miRNAの検索の実施費用に充てる予定である。
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Research Products
(3 results)