2011 Fiscal Year Research-status Report
自己抗原特異的IgMモノクローナル抗体による天疱瘡発症機序解明と治療法の開発
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23592943
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
角田 和之 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (60265915)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中川 種昭 慶應義塾大学, 医学部, 教授 (00227745)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 自己免疫疾患 / 自己免疫性水疱症 / 天疱瘡 / デスモグレイン / モノクローナル抗体 |
Research Abstract |
天疱瘡は粘膜と皮膚に生じる自己免疫性の水疱形成疾患であり、そのなかでも尋常性天疱瘡患者は全例で口腔粘膜に水疱を形成し非常に難治性である。これまでにPVの発症には病原性を有するIgGクラス自己抗体が関与し、そのIgGクラス自己抗体の解析を中心になされてきたもののIgMクラスの自己抗体に関する解析は殆ど行われていない。そこで本研究では、最近われわれが作製したIgMクラス天疱瘡モノクローナル抗体を用いて天疱瘡の病態生理を解明し、さらには天疱瘡の水疱形成におけるIgMクラス自己抗体の影響について検討する事を研究期間中に明らかにすることを目的としている。さらに抗Dsg3 IgG抗体が有する水疱形成能に対する、AK23 IgMの予防的効果(preventive effect)および治療効果(therapeutic effect)を検討することを目的とする。共同研究施設である当院皮膚科学研究室では数多くの天疱瘡患者血清が保存されており、まずその中からPV初期の血清を選定し、これらのPV初期患者血清を用いてヒト組み換えDsg蛋白を抗原としたELISA法を用いてPV患者血清中の抗Dsg3 IgM抗体の有無をスクリーニングを行う。本研究期間中にはこれらのサンプルよりはさらに患者血清より抗Dsg3 IgM抗体が検出されれば、一次抗体としてDsg3分子上の異なるエピトープを認識するAK mAbを反応させた後に患者血清を二次抗体として反応させることにより、IgM抗体の認識しているDsg3分子上のエピトープを明らかにすることを目標とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究期間中の中で平成23年度においてはまず天疱瘡患者血清中の抗Dsg3IgM抗体の解析を中心に行った。先ず解析に使用するヒト組み換えDsg蛋白の大量作製を実施した。さらに生成されたヒト組み換えDsg蛋白を抗原としたELISAプレート作製し、病初期の天疱瘡患者血清における抗Dsg3IgM抗体の検出を試みた。その結果病初期天疱瘡患者血清中には明らかな抗Dsg3IgM抗体は検出されなかった。これは実際に病気を発症している段階においては既にIgMクラス抗体よりIgGクラス抗体へクラススイッチがおこなわれているためであると考えられた。本現象を更に検証するためには我々が作製した天疱瘡モデルマウスにおける抗Dsg3IgM抗体産生の確認が有用である可能性が考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度はIn vivo、In vitroアッセイに用いるPV患者血清の解析を行う 昨年度までの文部科学省科学研究費補助金・基盤研究C(病原性モノクローナル抗体を用いた天疱瘡の口腔粘膜病変発症機序の解明)にてAK23 IgGと競合するエピトープを認識する抗体を有するPV患者血清を複数検討を行った。これらの血清を用いてわれわれの研究グループが開発した初代ヒト培養角化細胞を用いたin vitro dissociation assayを行う。すなわち培養した角化細胞シートに患者血清(抗Dsg3抗体)を添加し反応させる。その後ピペッティングによる物理的なストレスを加えて細胞シートを断片化しカウントし、水疱形成能を数値化したdissociation scoreを算出する。これらの実験を行うことで次年度以降の研究における基礎データとする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果であり、翌年度の消耗品購入に充てる予定である。平成24年度の本研究費は主に実験で使用するマウス、実験試薬および旅費に充当する予定である。
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[Journal Article] Pathogenic Relevance of IgG and IgM Antibodies against Desmoglein 3 in Blister Formation in Pemphigus Vulgaris2011
Author(s)
Tsunoda, K. Ota, T. Saito, M. Hata, T. Shimizu, A. Ishiko, A. Yamada, T. Nakagawa, T. Kowalczyk, A. P. Amagai, M.
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Journal Title
Am J Pathol
Volume: 179
Pages: 795-806
DOI
Peer Reviewed
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