2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌の顎骨浸潤・骨破壊に対するPTH・COX-2による新たな治療戦略
Project/Area Number |
23592945
|
Research Institution | Tokyo Medical University |
Principal Investigator |
里見 貴史 東京医科大学, 医学部, 講師 (70276921)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
續 雅子 東京医科大学, 医学部, 助教 (40385092)
虻川 東嗣 東京医科大学, 医学部, 助教 (50453717)
渡辺 正人 東京医科大学, 医学部, 助教 (40349460)
長谷川 温 東京医科大学, 医学部, 助教 (50424619)
水口 純一郎 東京医科大学, 医学部, 教授 (20150188)
近津 大地 東京医科大学, 医学部, 教授 (30343122)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 口腔癌 / 顎骨浸潤 / PTH / COX-2 |
Research Abstract |
PTHの骨形成促進作用メカニズムを明らかとする目的で、我々が確立したPTHの骨形成促進作用が認められる骨芽細胞様細胞株であるMC3T3-E1細胞およびMC-4 細胞培養系を用いてPTHシグナルの下流にある転写因子COX-2の解析を行った。具体的には MC3T3-E1細胞およびMC-4 細胞培養系にCOX-2のプロモーター領域の様々なbinding site COX-2 DNA mutationを強制発現させ、PTHによるルシフェラーゼ活性を測定することにより、PTHによるCOX-2誘導に必須のpotential cis-acting siteを検索した。また、mRNA、タンパクレベルでの解析をReal-time (Quantitative) PCRおよびWestern blotで検討した。更に、PTH刺激を加えたMC3T3-E1細胞およびMC-4 細胞培養系から核タンパクを抽出してゲルシフトアッセイを行い、PTHによるCOX-2誘導のpotential cis-acting siteを検討した。結果、骨芽細胞様細胞株また、 mRNA、タンパクレベルで、その骨芽細胞分化、および破骨細胞形成支持能に差がにおいてPTHによるCOX-2の発現誘導には、calcium-calcineurin-NFAT signaling pathwayが重要であることが分かった。担癌マウスによる顎骨浸潤・骨破壊モデルの作成は、マウス扁平上皮癌由来であるNR-S1細胞株もしくは、SCCVII細胞株を2×107/mlに調整し、C3H/HeマウスやCOX-2ノックアウトマウスおよび野生型マウスの右咬筋内に50μl注入し、経時的な腫瘍のの浸潤能を計測し、C3H/Heマウス,COX-2ノックアウトマウスおよび野生型マウスのそれぞれの顎骨浸潤モデルを作成中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
骨髄由来間葉系細胞に対するPTHとCOX-2シグナルの骨分化誘導と骨形成に必要なPTHとCOX-2シグナルの検討した。MC3T3-E1細胞およびMC-4 細胞培養系にCOX-2のプロモーター領域の様々なbinding site COX-2 DNA mutationを強制発現させ、PTHによるルシフェラーゼ活性を測定することにより、PTHによるCOX-2誘導に必須のpotential cis-acting siteを検索した。更に、PTH刺激を加えたMC3T3-E1細胞およびMC-4 細胞培養系から核タンパクを抽出してゲルシフトアッセイを行い、PTHによるCOX-2誘導のpotential cis-acting siteを検討した。骨芽細胞様細胞株または、 mRNA、タンパクレベルで、その骨芽細胞分化、および破骨細胞形成支持能に差がにおいてPTHによるCOX-2の発現誘導には、calcium-calcineurin-NFAT signalingpathwayが重要であることが判明した。また、担癌マウスによる顎骨浸潤モデルを作成中である。具体的には、マウス扁平上皮癌NR-S1細胞株やSCCVII細胞株をC3H/HeやCOX-2のノックアウトマウスの咬筋内に移植し、経時的な腫瘍の顎骨浸潤能の解析を行っている。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在、癌におけるBP製剤の研究や癌に対するCOX-2やCOX-2阻害剤による治療といった研究が乳腺科、整形外科、消化器外科で基礎的かつ臨床的にさまざまな方向で進められている。また、顎骨浸潤の研究は、破骨細胞の誘導分化に働くサイトカインであるIL-6, PTHrP, TNF-αの骨破壊への影響やMMPsとCOX-2の役割、BP製剤による骨破壊制御に関する基礎的研究のみである。本研究は、口腔癌の顎骨浸潤におけるCOX-2を介するシグナルによって調節される強力な骨形成因子であるPTHの多彩な作用を解明し、最終的には、患者のQOL低下を招く顎骨壊死を誘発するBP製剤に替わる新たなCOX-2阻害剤と PTHによる治療法の確立を試みる。加えて、口腔癌の顎骨浸潤部におけるPTH・COX-2の解析は、骨浸潤・骨破壊に対する今後の治療に与える影響も非常に大きいと予想される。このように、骨の臓器特異的な破骨細胞性骨吸収という病態をより解明し、その新たな制御法を確立することは顎口腔領域においても大きな治療戦略になりうる。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
COX-2ノックアウトマウスなどを用いた動物実験にて癌の顎骨浸潤や骨転移におけるCOX-2の発現と破骨細胞を介した骨基質の破壊や骨転移の進展との関連性を検討し、またCOX-2inhibitorによる骨浸潤・骨転移の抑制についても詳細な検討を行う予定である。また試料は、体重を測定してから屠殺後、骨を掃出し、適法に従い固定、脱灰およびパラフィン包埋を行い、連続縦断切片を作成し、経時的変化をHE染色,トルイジンブルー染色,V.Goldner染色により組織学的な検討と免疫組織学的な検討を同時に行う予定である。また、骨芽細胞や破骨細胞の発現様式を検討するためにALP染色,TRAP染色も行う予定である。
|