2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592947
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
小倉 直美 日本大学, 歯学部, 講師 (10152448)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 耕 日本大学, 歯学部, 助手 (20419758)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯嚢由来細胞 / coding RNA / non-coding RNA / 骨芽細胞分化誘導 / 石灰化 |
Research Abstract |
歯嚢には,骨芽細胞や神経芽細胞へと分化する未分化な細胞が存在することが報告されたことから,再生医療の細胞源として期待されている.本申請は,歯嚢由来細胞 (DFC) の臨床応用を視野に入れ,分子生物学的性質を検討することを目的としている.本年度では,DFCのランスクリプトーム解析を行った.【方法】本学倫理委員会の指針に従い,埋伏抜歯の際採取した歯嚢を酵素処理し,DFCを分離した.骨髄由来未分化間葉系幹細胞 (MSC) はLONZA社から購入した.DFCおよびMSCを growth mediumまたはosteogenic induction medium (OIM)で培養し,total RNAを抽出した.遺伝子発現は Affymetrix Gene Chip HG U113 plus 2.0 を,miRNA発現はAgilent miRNA microarray 8x15K を用いて測定した.【結果および考察】骨芽細胞へ分化誘導を行っていないDFCおよびMSCについて, coding RNAおよびnon-coding RNAの発現を比較検討した.stem cell markerはDFCとMSCで発現が類似していた.一方,DFCではLHX8, FOXO1遺伝子発現が,MSCではHOXA遺伝子群の発現が高かった.また,miRNAでは,DFCでmiR-20A*, miR-129-3p, miR-1271が,MSCではmiR-196a,b, miR-10a,bの発現が高かった.HOX遺伝子やmiRNAは細胞特異的に発現していると示唆された.次に,DFCの石灰化過程で発現変動する遺伝子群を調べたところ,培養3日目ではBMP-2, BMP-6, TGF-βの遺伝子発現が高かった.骨芽細胞誘導初期では,BMPおよびTGF-β signalig pathwayが亢進していることが示唆された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
十数名の患者から歯嚢を採取し,歯嚢由来細胞の分離・培養後しており,試験に使用可能な歯嚢由来細胞の例数は増えている.歯嚢由来細胞および 骨髄由来未分化間葉系幹細胞について,coding RNA および non-coding RNA のマイクロアレイを用いた網羅的遺伝子発現解析は順調に進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
マイクロアレイ解析を行う歯嚢由来細胞および骨髄由来未分化間葉系幹細胞の例数を増やす.歯嚢由来細胞および骨髄由来未分化間葉系幹細胞のcoding RNAおよびnon-codign RNAのマイクロアレイ解析結果ををもとにして,石灰化過程で発現変動する遺伝子の経時的変化をreal time-PCR法で詳細に調べる.石灰化過程で発現変動するcoding RNAとnon-coding RNA間での比較発現解析を行う.石灰化過程で発現変動するmiRNAの標的遺伝子を検索するとともに,発現変動したmiRNAをDFCに遺伝し導入し,標的遺伝子の発現変動および石灰化への影響を調べる.DFCとMSC間でトランスクリプトームの比較解析を行い.DFCまたはMSCの分子生物学的性質の比較検討を行う.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1. 細胞培養用培地および器具:歯嚢由来細胞および骨髄由来未分化間葉系幹細胞の培養2. マイクロアレイおよびマイクロアレイ測定用試薬:患者から採取した細胞を実験に使用する場合,個体差が問題となる.そこで,数名の患者から分離した歯嚢由来細胞について,coding RNAおよびnon-coding RNAのマイクロアレイ解析を行う.3. real time-PCR用試薬およびprimer作製:coding RNAおよびnon-coding RNAのマイクロアレイ解析結果をreal time-PCR法を用いて検証する.4. miRNA mimicおよび遺伝導入用試薬:石灰化過程で発現変動したmiRNAをDFC遺伝子導入し,石灰化への影響を調べる.また,導入したmiRNAの標的候補遺伝子を検索し,タンパク質産生のへの影響を調べる.
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