2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌のセツキシマブ感受性とKRAS、BRAF、PIK3CA変異の解析
Project/Area Number |
23592954
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
篠原 文明 東北大学, 大学病院, 助教 (80400258)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮下 仁 山形大学, 医学部, 助教 (70372323)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 癌 / 分子標的薬 / 抗癌剤 / EGFR |
Research Abstract |
頭頸部扁平上皮癌を含む多くの癌細胞では上皮成長因子(epidermal growth factor:EGF)の受容体であるEGFRの過剰発現が認められ、これが癌細胞の増殖を促進することから、EGFRを阻害する薬剤が頭頸部癌に対する分子標的薬剤として有効である可能性が考えられる。本研究は、口腔癌由来細胞株を用いて、口腔癌化学療法で多用される抗癌剤と、EGFR阻害剤との併用増強効果を検討し、そのメカニズムを解明することを目的としている。平成23年度は以下の内容に取り組み研究成果をあげた。口腔癌由来細胞株であるHSC-3、HSC-4を用いて、5-Fluorouracil(5FU) 、あるいはCisplatin(CDDP)など癌抗癌剤と、EGFR阻害剤であるCetuximabをとの併用増強効果を、細胞増殖活性の測定をMTT法にて、腫瘍細胞のアポトーシス誘導をフローサイトメトリーにて行なった。【結果】HSC-3、HSC-4の両細胞株において、抗癌剤単独と比較し、Cetuximabを併用することにより、細胞増殖活性の抑制が認められた。両細胞株にて、5FU単独に比べ、5FUとCetuximabの併用はアポトーシス誘導を増強する一方、HSC-3では、CDDPとCetuximabの併用はアポトーシス誘導の増強を認めなかった。【研究成果の意義】平成23年度の研究結果から、分子標的薬CetuximabのEGFR阻害作用により、抗癌剤の抗腫瘍効果を増強し、より有効な治療効果が期待できることが示唆された。このメカニズムを解明には、EGFRシグナルやカスパーゼ経路に関与する各種分子を検討していく必要がある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度は、口腔癌の遺伝子異常とエピジェネティクス変異を解析し、Cetuximab感受性との関連性について検討する計画であった。口腔細胞株における抗癌剤とCetuximabの併用療法が、細胞や抗癌剤の種類により異なり、その感受性の違いがEGFR下流の標的因子の1つであり、アポトーシス抑制的に作用するAkt経路を介している実験結果も出つつあった。今年度は2011年3月11日の東日本大震災により、研究施設と実験器具の大幅な改修が必要となり研究の遅れが出ていたが徐々に復帰に向かってる。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は当初の研究計画、すなわち1)口腔癌細胞株(HSC-2,3,4,SAS)のKARS、BRAF、PIK3CAの遺伝子変異の検討。2)エピジェネティクス変異の検討(メチル化異常の検討)3) 抗腫瘍効果の検討で進めていく。特に、大腸癌では解析が進んでいるが口腔癌では明らかにされていない、KRAS、BRAF、PIK3CAの遺伝子異常やエピジェネティクス変異とセツキシマブの感受性との関連性について、EGFR下流の分子シグナルKRAS、BRAF、PIK3CA変異とEGFR阻害剤の感受性について検討し、EGFR阻害剤の口腔癌治療への応用を目指す。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究で使用する機器は、本施設や周囲研究施設、また、平成23年度新たに購入したケミルミイメージングシステムでほぼ完備している。今年度は引き続き遺伝子変異の解析、メチル化異常の解析、アポトーシス、細胞周期、シグナル伝達分子などの分子生物学的解析に必要な高額な試薬を含む消耗品を中心にして研究経費を使用する予定である。
|