2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔癌顎骨浸潤の免疫学的機序の解明と新規治療戦略の開発
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23592957
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
野口 誠 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 教授 (50208328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 直也 富山大学, 医学薬学研究部(医学), 准教授 (80323723)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 口腔癌 / 顎骨浸潤 / 免疫学 |
Research Abstract |
マウス口腔癌モデルを用いた免疫学的解析によって、口腔癌担癌マウスの腫瘍組織および所属リンパ節である顎下リンパ節では、CD4、CD25、Foxp3陽性のRegulatory T cell(Treg)が著しく増加していることが確認された。一方で、CD11b陽性細胞集団の増加は抑制傾向にあることも確認された。CD11b陽性細胞の中には、腫瘍浸潤マクロファージ(TAM)や未成熟ミエロイド系細胞(MDSC)などがあり、Tregによって、これらの免疫抑制性細胞集団の増加が抑制されている可能性が示唆された。口腔癌の顎骨浸潤にとって、重要な役割を果たしているであろう破骨細胞の前駆細胞も、CD11b陽性細胞であり、癌組織で増加してくるTregと破骨細胞分化について検討を行った。その結果、腫瘍内Tregは、末梢リンパ節内のTregに比べて有意に破骨細胞分化を抑制することが確認された。その機序の一つとしては、腫瘍内のTregの表面上には、CTLA-4が強く発現することから、同分子に対する中和抗体を用いたTRAP assayによって、腫瘍内Tregによる破骨細胞分化には、CTLA-4が重要な役割をはたしていることが確認された。以上の結果より、口腔癌の腫瘍局所で増加してくるTregは、CTLA-4の発現を増強することにより、CD11b陽性細胞集団に対して抑制性に働いていることが示唆された。これは、Tregの従来の概念を再検証するものであり、破骨細胞分化を含めた口腔癌局所浸潤過程における免疫メカニズムの解析にとって重要な情報となりうる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画にある、破骨細胞分化とTh反応系との関係については、これまでの研究成果で解明されてきている。よって、その結果をもとに、今後の治療実験におけるターゲットとなる候補の絞り込みが可能であり、次年度以降で予定している治療実験がスムーズに行える状況と考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
マウス口腔癌モデルを用いた解析により、腫瘍内部で増加してくるTregが、細胞表面上のCTLA-4発現の増強により、口腔癌顎骨浸潤にとって重要な役割を果たす破骨細胞の分化を抑制することが解明された。また、同時に、Foxp3陰性のCD4陽性細胞群においては、破骨細胞分化にとって重要となるRANKLの発現が増強することも確認された。そこで、このFoxp3陰性の細胞群の詳細解析を行うとともに、RANKLに対する阻害剤の使用効果について、in vitroでの解析および担癌マウスを用いた効果実験を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度においては、上記の研究推進方策にも記したように、破骨細胞分化にとって重要となる細胞集団の同定と、その制御因子の機能解析を行う。そこで、これらの解析を行うにあたっては、フローサイトメトリーを用いた免疫学的な解析や磁気細胞分離、中和抗体等の試薬の購入が予算配分で大きな割合を占める。また、実験動物の購入にも予算配分が必要となる。次年度には、これまでに蓄積された研究成果の発表や論文による成果発表も予定される。大別すると、1.研究試薬等消耗品関係 2.実験動物の購入と維持管理費 3.学会参加費、論文投稿料などである。
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Research Products
(2 results)