2011 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜癌におけるヨード生体染色機序およびグリコーゲン代謝異常の解明
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23592959
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
栗田 浩 信州大学, 医学部, 教授 (10273103)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | ヨード染色 / 口腔扁平上皮癌 / 口腔粘膜 / ルゴール染色 |
Research Abstract |
本研究の目的は、口腔粘膜におけるヨード生体染色の機序を検討すると伴に、それと深く関連するグリコーゲン代謝の異常(糖輸送、グリコーゲンの合成および分解)を明らかにすることである。現在までに以下の結果が得られている。1,ヨード生体染色機序の解明:口腔粘膜病変切除時にヨード染色を施行し、不染域および染色域を含む組織を採取。凍結切片を作製しヨード呈色反応の場を検討した。その結果、ヨード溶液は染色域の上皮1/2まで浸透していた。同部ではグリコーゲンの存在もPAS染色で確認され、同部がヨード生体染色反応の場と考えられた。2,細胞内グリコーゲン代謝異常の解明:ヨード染色結果と糖の取り込みに関連するグルコーストランスポーター(GLUT-1)、および、癌抑制遺伝子変異(p53)、細胞増殖能(Ki67)との関連について、免疫組織学的に検討した。その結果、GLUT- 1の標識率は上皮全層においてヨード不染域が染色域よりも有意に高かった(基底層 77.0 vs 22.4%, 傍基底層 84.9 vs 21.8%,表層62.0 vs 10%; Wilcoxon符号付順位検定、P<0.05)。p53に関しては基底層において、また、Ki67に関しては,表層においてヨード不染域で標識率が有意に高かった(26.1% vs. 9.8%、11.7% vs. 4.3%)。 以上の結果から、ヨード呈色反応の場は上皮表層1/2であると考えられた。また、上皮表層において、ヨード不染域と染色域の間でGLUT-1およびKi67の発現に有意差があり、ヨード染色機序にグリコーゲンの取り込みと細胞分裂能が関連している可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、口腔粘膜におけるヨード生体染色の機序を検討すると伴に、それと深く関連するグリコーゲン代謝の異常(糖輸送、グリコーゲンの合成および分解)を明らかにすることである。 研究計画では、平成23から24年度の2年をにかけて、(1)ヨード生体染色機序の解明に関する研究と、同時進行で(2)細胞内グリコーゲン代謝異常の解明を行うこととしている。 平成23年度中に(1)ヨード生体染色機序の解明は終了し、現在研究成果の発表に向けて準備中である。また、(2)細胞内グリコーゲン代謝異常の解明に関しては、平成23年度中にヨード染色結果と糖の取り込みに関連するグルコーストランスポーター(GLUT-1)、および、癌抑制遺伝子変異(p53)、細胞増殖能(Ki67)との関連に関する実験および解析が終了し、こちらも研究成果の発表に向けて準備中である。ここまでの成果は研究計画の6割ほどをしめる内容で、研究の進行状況は良好であると考えられる。しかし、当初の計画では平成23年度中に国際学会での上記研究成果の発表を予定していたが、発表は平成24年度に持ち越すこととなった。現在、残された細胞内グリコーゲン代謝異常に関する実験及び解析(グリコーゲン合成、グリコーゲン分解)を行っており、予定通り平成24年度中には解析が終了すると考えている。 以上、現在までに予定通り研究計画の半分以上を終了した。これまで計画に沿った結果が得られており、研究はおおむね順調に進展していると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
現在までに研究はおおむね順調に推移している。サンプルの集まり・蓄積も順調であり、このままサンプルの収集は継続していく。今後、グリコーゲン合成に関与する酵素、グリコーゲン分解に関与する酵素の研究・解析を進めていくが、現在のところ安定した免疫組織染色結果が得られていないため、予備実験等を重ねて対応していきたい。 研究成果は国内での発表は順調に行っているが、国際学会での発表が遅れているため、今後の成果を含めて積極的に発表など行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に予定していた国際学会での発表などが遅れたため、発表等に使用する研究成果の集計および資料作成が遅れたため、デジタル画像処理記録装置・マルチレコーダーの購入、旅費等を翌年度に持ち越している。 次年度では、残りの研究計画の遂行(各種抗体、薬品、消耗品の購入など)を行うとともに、国内および国際学会、学術雑誌などで研究成果の発表を行っていくために研究費を役立てていきたい。
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Research Products
(2 results)