2012 Fiscal Year Research-status Report
口腔粘膜癌におけるヨード生体染色機序およびグリコーゲン代謝異常の解明
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23592959
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
栗田 浩 信州大学, 医学部, 教授 (10273103)
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Keywords | ヨード染色 / 口腔扁平上皮癌 / 糖代謝 / ルゴール染色 / 生体染色 |
Research Abstract |
本研究の目的は、口腔粘膜におけるヨード生体染色の機序を検討すると伴に、それと深く関連するグリコーゲン代謝の異常(糖輸送 、グリコーゲンの合成および分解)を明らかにすることである。平成24年度には以下の結果が得られている。 1,ヨード生体染色機序の解明:口腔粘膜病変切除時にヨード染色を施行し、不染域および染色域を含む組織を採取。凍結切片を作製しヨード呈色反応の場を検討した。その結果、ヨード溶液は染色域の上皮1/2まで浸透していた。同部ではグリコーゲンの存在もPAS染色で確認され、同部がヨード生体染色反応の場と考えられた。加えて、電顕的な観察を行い、上皮細胞内には3つのパターン(full-, surround- and scatter-types)でグリコーゲンが存在していることを明らかにし、そのうち2つのタイプ(full- and surround-type)でヨードとの反応が起こっていると考えられた。 2,細胞内グリコーゲン代謝異常の解明:ヨード染色結果と糖の新生に関連する酵素(glycogen synthase, GS and phospho-glycogen synthase, PGS) と分解に関連する酵素(glycogen phosphorylase isoenzyme BB, GPBB and Glucagon-like peptide-1, GLP-1)との関連について、免疫組織学的に検討した。その結果、不染域と染色域の間 でGPBBの発現に有意差があり、ヨード不染の細胞では糖の分解が更新している可能性が示されている。現在、サンプルを増やした追加実験を施行中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、口腔粘膜におけるヨード生体染色の機序を検討すると伴に、それと深く関連するグリコーゲン代謝の異常(糖輸送、グリコーゲンの合成およぶ分解)を明らかにすることである。研究計画では、平成23から24年度にかけて、ヨ一ド生体染色機序の解明に関する研究と、同時進行で細胞内グリコーゲン代謝異常の解明を行うこととしている。 現在までに、ヨード生体染色機序の解明はほぼ終了し、研究成果の発表も行った。また、グリコーゲン代謝異常の解明に関しても、糖の取り込みに関しては研究を終了し、成果を報告した。 現在、糖の合成および分解に関する部分もほぼ研究を終え、追加実験の段階である。この部分に関しても平成25年度前半には終了の見込みである。 成果の公表に関しても、平成24年度に国際学会等にて発表を行い、一部は論文として発表した。残りの研究成果に関しても平成25年度以内に学会発表、論文発表を予定している。 上記のごとく、研究の遂行はほぼ予定通り順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在まで研究はおおむね順調に推移している。 糖の取り込みに関する研究は終了し、成果は国際学会および論文として発表した。現在、糖の合成および分解に関する免疫組織学的検討を行っている。この部分もほぼ研究を終えているが、症例数の追加による追加実験の段階である。症例の追加に伴い、免疫染色法に用いる抗体などの予算を持ち越しているが、この部分に関しても平成25年度前半には終了の見込みである。 概ね予想通りの結果が得られており、今年度中に結果のとりまとめ、学会および論文による成果の発表を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成24年度は、一部症例数の追加などにより免疫染色などの実験が行えなかったため、次年度使用額が生じた。平成25年度は、未使用額を合わせて、免疫染色などの実験に要する物品(抗体:グリコーゲン合成酵素(GS、PGS)とグリコーゲン代謝酵素(GPBB、GLP-1)、および、それに伴う消耗品)を購入する。 実験の終了後、結果の取りまとめ、学会発表(国内および国際学会)、論文による成果の公表を行う。結果の取りまとめに際して、英文校正などを依頼する予定である。
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Research Products
(2 results)