2013 Fiscal Year Annual Research Report
Angiogeninを標的とした新規癌治療薬neamineの口腔癌治療への応用
Project/Area Number |
23592961
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
岸本 晃治 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (40243480)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊原木 聰一郎 岡山大学, 大学病院, 助教 (80549866)
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Keywords | Angiogenin / Neamine / Neomycin / 血管新生 / 細胞増殖 / リボソームRNA |
Research Abstract |
血管新生蛋白angiogenin(ANG)は血管内皮細胞のみならず癌細胞に対し直接的な増殖作用を有するが,そのためにはANGの核移行が必須である。本研究では,ANGの核移行を阻害するアミノグリコシド系抗生物neomycinの非毒性誘導体であるneamineが,口腔癌においてANGを標的として強い抗腫瘍作用を示し,口腔癌治療の臨床応用の候補に成り得るかを検討した。 Neamineは,口腔扁平上皮癌細胞株HSC-2,HSC-3およびSASに対してANGの核移行を阻害した。Neamineはin vitroでHSC-2とHSC-3細胞の増殖を完全に抑制したが,SAS細胞の増殖を完全に抑制できなかった。しかし,neamineは,ヌードマウス皮下移植モデルで,HSC-2およびSASの腫瘍に対して同程度の有意な腫瘍増殖抑制効果(約60%)を示した。そして,neamineを注射したHSC-2腫瘍組織で,ANGの核内での発現の減弱,PCNA indexの低下,腫瘍血管数の減少,nucleolar organizer region (NOR)のドット数の減少,アポトーシス細胞の増加が確認できた。一方,neamineを注射したSAS腫瘍組織では,腫瘍血管数の減少のみが確認できた。最終年度では,in vitroとin vivoの結果が相反するため,腫瘍組織の再検討を行ったが同じ結果であった。したがって,neamineによるANGを介する腫瘍血管新生の抑制効果と腫瘍細胞増殖に対する直接的な抑制効果は重複して作用したことが推察される。 口腔癌においては,ANGが低酸素環境下で強発現することが明らかとなっている。したがって,neamineによるANGを標的とした抗腫瘍作用は特に口腔癌に対して有効であると考えられ,neamineの口腔癌治療への応用が期待される。
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