2011 Fiscal Year Research-status Report
ホルモンレセプターをターゲットにした悪性唾液腺腫瘍の新規治療法の開発
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23592965
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
住田 知樹 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (50314951)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | (1)唾液腺腫瘍 / ホルモン |
Research Abstract |
研究代表者が所属する研究室ではACC2、ACCMという同一親株に由来する浸潤転移能の異なる細胞株を所有しているほか、HSG、HSYといった唾液腺腫瘍株も所有している。研究1年目では主にこれらの細胞を使って、細胞レベルでの腫瘍の増殖、浸潤に関する検討を行った。アンドロゲンーアンドロゲンレセプターシステムの検討を行う。扁平上皮癌との違いを明確にするためにまず(1)唾液腺癌細胞と扁平上皮癌細胞を用いて定量化RT-PCR法によるmRNA発現量の比較検討を行いまた、(2)ウエスタンブロッティング法によるタンパク発現量の比較検討を行った。また、(3)免疫染色によるin vivoでの蛋白発現量の比較検討も合わせて現在行っている。特にACC2とACCMの比較や、異なる浸潤度を示すヒト唾液腺腫瘍における蛋白発現の比較は重要である。ACCMで発現が亢進するか、減弱するか、また、高浸潤能を示すヒト腫瘍における発現の差異により以後の戦略が異なってくる。アンドロゲンレセプターではまだこの確認はなされていない。結果により、ホルモンそのものの投与が有効であるのか、アロマターゼ阻害剤などの投与が有効であるのかの検討が必要になる。従って、(4)培養細胞による増殖の検討(細胞数計測、チミジン取り込み、フローサイトメトリーによるS期細胞率の測定など)や、(5)培養細胞による浸潤能の判定(ボイデンチャンバー法による浸潤能の比較、ゼラチンザイモグラムによる検討など)には、ホルモンそのものやその阻害剤を使用を現在行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、エストロゲンレセプターシステムの解析は終え、アンドロゲンレセプターの計画に取りかかっている。これが進めばひととおり臨床で使用可能と思われる性ステロイドホルモンレセプターシステムの解析が終わる。ただし、もう少し、vivoの症例を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
ヒト悪性唾液腺腫瘍は、5年生存率は高いものの10年、20年といった長期の生存率は惨憺たるものである。しかし、発症のピークが中年期以降ということを考えると、さらに腫瘍の進展を遅らせることが出来れば腫瘍を根治に至らしめなくても制御することが可能であると考えられる。この研究は今まで交付を受けた科学研究費から得られたデータの蓄積の上に成り立ち、かつ集大成ともいえるものであり、是非、悪性唾液腺腫瘍の新しい治療戦略として完成させたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は主にin vivoの実験を中心に行う。ACC2、ACCMはそれぞれヌードマウスに移植可能であるため、まず、移植腫瘍を作製する。その後、さまざまな徐放性コンパウンドが発売されている中から、エストロゲン、タモキシフェン、アンドロゲンやその阻害剤を投与し、抗腫瘍効果を判定する。この実験は研究者らが既にプロゲステロンにて同様の手法で行っており遂行は容易である。また、ヌードマウス肺へ尾静脈よりレセプター導入した腫瘍細胞を接種し肺転移の有無を測定する。接種後、約3週で肺を摘出しIndia inkを用いて転移巣を染め出し、転移能の違いを比較する。当然、この実験においても徐放性コンパウンドを使用する。これらの実験が遂行され、in vivoにおける腫瘍の増殖が抑制されれば、これらの戦略が悪性唾液腺腫瘍のホルモン療法に有効である可能性が示唆される結果となる。
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Research Products
(3 results)