2011 Fiscal Year Research-status Report
ヒト口腔顔面の末梢神経障害に対する水分子状態をとらえたMR生体病理イメージング
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23592984
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松澤 等 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70303170)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50323978)
弦巻 立 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10345522)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 神経障害性疼痛 / MRI / Nuerography / 高分解能3D画像 / 拡散強調画像 / 三叉神経 / 神経再生 / Schwann細胞 |
Research Abstract |
難治性の口腔顔面疼痛の一つに神経障害性疼痛がある。その原因に損傷神経の異常再生が挙げられるが、われわれは、ヒト口腔顔面の末梢神経障害を水分子の状態を捉え非侵襲的な生体病理イメージングを行い、異常再生のメカニズムの一端を明らかにし、その予防法を作り出すための基盤を作ることを目的としている。そのために新潟大学 統合脳機能研究センターと共同して研究用高磁場(3.0T)MRI装置を用いて神経画像データを取得してゆく。初年度は画像の入り口となる現有の表面コイルの改造と3種類の画像法と解析方法を確立した。1.われわれの先行研究で開発した末梢神経画像法3D volume rendering MRN (3DVR-MRN)は、さらに飛躍的に高分解能なMicro 3DVR-MRNへと発展した。高分子のタンパク質などと結合した水分子の状態をとらえた画像は、神経線維とその周囲の結合組織の3次元微細構造を描出することに成功した。2. 細胞間質、疎性結合組織や炎症性組織に多く存在する自由水の状態の水分子を画像演算よりT2緩和時間を求め数値によるマッピング作成。3.ブラウン運動から水分子の拡散性を検出する拡散強調画像をMRIにとって悪条件な口腔顔面領域で高分解能な画像データを得ることを可能にした。さら高コントラスト画像法である3D anisotropy contrast (3DAC)を世界で初めて三叉神経領域に応用することができた他、数値データとして一本の神経線維の見かけの拡散係数を求めることもできた。 われわれは神経損傷後の"異常再生ではSchwann細胞の分化に異常過程を伴い、線維性結合組織が増生する"と考えこの検証にはin vivoでの上記のような強力なツールが不可欠である。すでにこの手法での患者データ取得が始まり、三叉神経領域の再生過程の異常に関する新たな知見が得られはじめているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
初年度の計画では、高分解能神経MRIデータを得るための装置:ハードと画像取得法と解析法:ソフトの開発と確立、さらに三叉神経領域の神経障害性疼痛患者の感覚異常の定量的評価方法、障害神経組織の解析準備を目標にしてきた。上述のように中核となるMRIデータ取得のための準備は十分に達成した上に、次年度の計画であった患者データの取得の開始まで始まっている。 その他の感覚異常の評価法は独自に開発した温度感覚刺激装置を用いた損傷神経線維の有髄/無髄/神経径のいずれかに障害があるかを計測する手法の確立、ヒトの有痛性神経腫の組織の免疫染色も行われ。計画以上の達成を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
初年度でのコイル改造には2つのプロトタイプを作成し実際にヒトでの三叉神経を撮像し調整を進めた結果、良好なデータ品質を得られるまでに至った。しかしさらに基本的な設計段階からの見直しが必要な点や、実際に患者でのデータ取得で必要とされる仕様が明らかになってきた。これらの点を踏まえ、より高分解能化や安定したデータを得るための新たなコイル開発と製作を予定している。すでに概要は固まりつつあり、設計と製作に入ろうとしている。 われわれの研究体制は、新潟大学歯科麻酔ペインクリニックの三叉神経領域の神経障害性疼痛患者データから、実験的動物の神経損傷モデルまで体系的にTranslational Pain Researchができることが特徴である。実際、神経障害性疼痛の高度先進的な治療である神経再生治療で得られた貴重な障害神経標本や神経生理学的所見と本研究でのMRデータを比較検討してゆくことが重要な柱となる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
初年度にコイル新製の研究費を計上していたが、上述のように初年度の研究データを踏まえての次年度コイルの新製作とした。これは最良のコイル設計や要求仕様策定のために妥当な変更であったと考える。さらにデータ取得のためのMRI装置維持や必要経費が計上される。 また、神経障害性疼痛の情報収集のため国際疼痛学会に参加の予定のほか、神経標本の解析のための試薬、委託研究費や、動物による神経障害のMRイメージングも検討し準備実験を行う費用も含まれる。
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Research Products
(6 results)