2012 Fiscal Year Research-status Report
ヒト口腔顔面の末梢神経障害に対する水分子状態をとらえたMR生体病理イメージング
Project/Area Number |
23592984
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
照光 真 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (60401767)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松澤 等 新潟大学, 脳研究所, 准教授 (70303170)
瀬尾 憲司 新潟大学, 医歯学系, 教授 (40242440)
田中 裕 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (50323978)
弦巻 立 新潟大学, 医歯学系, 助教 (10345522)
倉田 行伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (20464018)
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Keywords | 神経障害性疼痛 / MRI / Neurography / 高分解能3D画像 / 拡散強調画像 / 3DAC / 三叉神経 / 神経再生 |
Research Abstract |
本研究の目的はMRIを用いて水分子の状態を解析してヒト末梢神経障害を非侵襲的に評価する方法論の開発とその臨床応用にある。 H24年度は、引き続き共同研究者の新潟大学脳研究所 統合脳機能研究センターの超高磁場実験施設の横型3T MRI装置を用いて末梢神経画像法の実験と患者群による病的神経データの取得を行った。初年度で高い3次元空間分解能を得る3 Dimensional Volume Rendering MR Neurography (3DVR-MRN)のさらなる分解能の向上に成功したが、今年度はさらに水分子の拡散性を検出する拡散強調画像 (DWI)と3D anisotropy contrast (3DAC)を組み合わせた高コントラスト分解能画像法の空間分解能を向上させることに成功した。 これにより神経損傷後の異常増生した瘢痕組織と正常神経の空間分布を明瞭に描出することが可能になった。加えて三叉神経領域に神経障害をもつ患者群でのデータ取得も順調に進行し、瘢痕組織と神経線維の伸びだしのパターンが形態的にいくつかに分類ができる可能性が示されつつある。この他同時に計測している、軸索とその周囲の結合組織における水分子の見かけの拡散係数と高分子と結合していない自由水を反映するT2緩和時間計測データにより、水分子の状態を反映した組織特性を類推することができる。これらのデータと臨床症状を総合すると神経再生のある時期に神経炎症が異常に遷延していることが、結果として正常なSchwann細胞の働きであるところの髄鞘化が低く、乱雑に配列した軸索の再生、結合組織の増生につながることが見いだされつつある。さらに症例数を重ねることにより時系列変化を明らかにしてゆくことができるであろう。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本年度では神経障害性疼痛の患者群でのデータ取得の開始が計画されていたが、順調に症例数を重ねている。MRIのハード面ではカスタム化した表面コイルの性能が、必要な撮像深度が得られる感度分布をもち、S/N比も十分で所定の性能を発揮している事が示された。撮像条件の最適化と相まって、きわめてMRIにとって撮像条件の良くない口腔顔面領域で、画像の変形やノイズ、動揺の影響の少ない拡散強調画像データを安定して取得することが可能になった。拡散強調画像データの見かけの拡散係数の解析スクリプトも作成しデータ解析の準備も進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
当初新たなコイル製作を計画していたが、現有コイルのカスタム化が所定の水準の性能を発揮していることや現在使用しているMRI装置のバージョンアップも計画されていることから、コイルの新製よりも現有コイルの継続使用の方針を検討している。 得られたデータ解析に関するテーマとして、緩和時間計算方法や見かけの拡散係数の算出と表示方法、さらに3DVR-MRNで検出された病変部位と対応する3DAC、見かけの拡散係数マップ、T2緩和時間マップとの間での関心領域(ROI)の設定方とデータの抽出方法とその統計処理方法を策定する必要がある。このためアルゴリズム作成のプラットフォームとワークステーションを構築してゆく。 これまでの研究で明らかになってきた疑問点として、末梢神経損傷後の神経炎症の遷延のメカニズムやその検出と予防に関する研究方法の予備実験も検討してゆきたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
得られたデータ解析の段階に入っており、解析のためのツールが必要になっている。独自にスクリプトを組むことができなおかつわかりやすいユーザーインターフェースを持つ画像解析と演算のためのプラットホームの導入を検討したい。さらに同時に多人数の研究者が使用可能なようにワークステーションを設置する方針。 本研究の成果を公表するためフランスで開催の末梢神経学会に参加するほか、国内の口腔顔面領域の痛みと麻酔に関する学会へも発表に研究費を使うほか、論文の作成のための英文校正や出版費用などに支出される予定である。
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Research Products
(4 results)