2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23592991
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
松村 達志 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70432648)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田畑 純 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20243248)
平田 あずみ 京都府立大学, 生命環境科学研究科(系), 助教 (40263587)
山近 英樹 岡山大学, 大学病院, 講師 (10294422)
森谷 徳文 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (60467751)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯根形成 / 再生医学 |
Research Abstract |
歯の発生研究は歯冠形成期の上皮・間葉相互作用を中心に進められてきた。申請者らも細胞培養や歯胚の器官培養を用いて、分化誘導シグナルの肝細胞増殖因子(HGF)や骨形成タンパク(BMP)4などの関与を明らかにしてきた。これらの因子を詳細に解析するため、上皮と間葉の細胞を個々に調整し、個々に制御できる新しい共培養法=TDL培養を開発するに至った。これによりエナメル芽細胞の典型的な形態と歯胚組織の再構築が可能となった。また、この手法は他の細胞の組み合わせも可能と考えられた。 一方、歯根形成期は、歯根再生と既存の歯科治療とを組み合わせる事で機能回復可能な事から、以前から注目されている。申請者らも、骨芽細胞分化に必須の転写調節因子Runx2がセメント芽細胞分化・基質形成に関与する事やパールカン分解酵素ヘパラナーゼが基底膜のヘパラン硫酸プロテオグリカン(HSPG)であるパールカンを介してセメント芽細胞の分化・増殖に関与する可能性を報告した。しかし、これらを解析出来る歯根形成期in vitro実験系は未だに十分に整備されておらず、そこから得られる知見も限られていた。そこで、前述の TDL培養法を歯根形成期のin vitro実験系に応用して、新たな手法の導入とメカニズム解明に切り込むことを着想した。 初年度はラットのセメントシートより細胞を分散させ単層培養を行い、培養条件の設定やタイムラプス細胞観察装置と分化マーカーを用いて培養下における細胞の動態、増殖、分化の基礎的データを得る予定であった。そのため、初年度早期よりタイムラプス細胞観察装置を導入する予定であったが、予算削減の可能性があったため導入が送れて培養下でのデータはあまり得られていない。分化マーカーについてはパールカンが歯髄細胞のマーカーとなりうる事が免疫組織化学的手法により明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初、予算執行が決定額の7割(3割減)になるという話があり、初年度予算の多くを占めるタイムラプスイメージングシステム導入が遅れてしまった。それまでは免疫組織化学的手法等を行っていたが、初年度研究計画で挙げていた同装置を用いた実験が出来なかったため、計画が送れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
タイムラプス細胞観察装置導入の遅れたため、前年度に引き続きセメントシート培養下における細胞の動態、増殖、分化の基礎的データを得る。さらに生後7-10日齢ラットから得た歯胚間葉細胞をコラーゲンゲル中に分散させての3次元培養にセメントシートを分散、重層するTDL培養法を実施導入する。分化マーカーやタイムラプス撮影装置を用いて増殖、分化の検討と動態観察を常に行う。上皮の断裂・伸長の観られるものを検索し、そこでどのような細胞増殖や細胞分化(立方化や極性など)が見られるかを組織学的に解析し、そのメカニズムを検証する。 なお、研究者の相互関係は前年度と同じである。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
ビーズ法を導入して目的とする因子のリコンビナント、その阻害剤やアンチセンス・オリゴデオキシヌクレオチドによる発現調整を行い、ヘパラナーゼ、SHH、FGFといった歯根形成・伸長に関係すると予想される因子の役割を検証する。界面の形態変化に伴う変化をBrdUやTUNEL法で調べ、上皮・間葉の細胞増殖やアポトーシスなどの機構を検定する。さらに、効果のある因子が特定できたら、関連する形態形成遺伝子の発現をRT-PCRやホールマウントin situ ハイブリダイゼーションなどで確認して成果の発表を行う。なお、研究者の相互関係は前年度と同じである。
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