2011 Fiscal Year Research-status Report
歯髄組織に由来するニューロスフェアを用いた前脳虚血病態の改善
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23592997
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
三浦 美英 北海道医療大学, 歯学部, 教授 (50241716)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金澤 香 北海道医療大学, 歯学部, 助教 (40453279)
倉茂 秀平 北海道医療大学, 歯学部, 助手 (60584026)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 前脳虚血 / 歯髄 / neurosphere / ラット |
Research Abstract |
幼若ラット歯髄組織の浮遊培養によるneurosphere作成について、組織採取ならびに培養手技を安定させた。慢性実験では神経系前駆細胞100万個を投与するが、そのために必要な匹数は6匹(12歯)、期間は1週間であり、6匹から120~150万個の細胞が得られることが判明した。凍結群についても検討を行い、neurosphereを液体窒素で凍結し、2~3週間後の解凍後に活性のある細胞が得られることを確認した。ただし、生産性は低く、6匹から約20万個しか得られなかった。慢性実験では100万個の細胞を投与するため、その細胞数が得られる匹数について検討を行い、ラット20匹が必要であることが判明した。 慢性実験についてはモデルを確立し、施行している。歯髄組織をコラゲナーゼ分解して得られた細胞を投与する歯髄細胞移植群、neurosphereに由来する細胞を投与するneurosphere由来細胞移植群、そして、凍結neurosphere由来細胞移植群のといずれも実施し、全群で長期生存が得られ、ラットの全身状態が悪化しなかったことを確認した。 また、次年度研究課題である、歯髄に由来する細胞投与後の神経栄養因子の脳組織mRNA発現状態を検討するための手法(文献検索)ならび試薬選定の作業も開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
これまで用いてきた麻酔ガスモニタが耐用期限となったため新規に機種を購入した(ドレーゲル・バモス)。ところが、本機種を慢性実験に用いところラットの虚血手術中・後の死亡が相次ぎ、研究が滞った。当初その理由は不明であったが、新機種は従来機種よりもサンプリング量が多いため、人工呼吸回路内が陰圧になることがあることがその原因と推測された。呼吸回路を見直した結果、現在は急性期死亡は減少した。 また、平成23年10月より山形大学医学部麻酔科学講座から研究員(熊坂愛里)が来学した。脳虚血モデルの安定的な作成には一定期間のトレーニングが必要であり、それに約3ヶ月を要した。 上記2つの理由により研究はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では当初、前脳虚血後転帰を1ヶ月と設定していた。しかし、neurosphere投与の転帰への効果を明確化するために虚血侵襲を通常よりも大きめに設定しているため(虚血時間10分を11分に延長)、研究代表者の従来の実績よりもラット死亡率が増加している。そのため、1ヶ月の観察期間のままでは期間内に研究を終了できなくなる可能性がある。 部分脳虚血モデルからの報告では虚血後の成熟現象(脳梗塞量が増大する期間)は2週間とされている。本報告ならびに現在の研究進捗状況を考慮し、転帰を2週間に短縮し、期間内の研究終了を目指したいと思う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度研究費は脳組織mRNA発現を検討するための試薬購入および動物購入費用に充てる予定である。特に動物購入に係わる部分が大きく、虚血モデルに用いる成熟ラット以外に、neurosphereを作成するために幼若ラットが6~20匹必要となる。慢性実験モデルの生存率の改善ならび必要匹数の再検討により必要動物数の削減と予算の効率化に努める所存である。
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