2013 Fiscal Year Annual Research Report
骨形成タンパク質NELL1による骨・軟骨誘導とその臨床応用
Project/Area Number |
23592999
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Research Institution | Showa University |
Principal Investigator |
織田 光夫 昭和大学, 歯学部, 兼任講師 (30359492)
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Keywords | NELL / 骨誘導 / 軟骨誘導 |
Research Abstract |
NELL1はBMPと異なり異所生の骨誘導能はなく、in vitroではBMPに匹敵する骨誘導能を示す。これまでにラット頭蓋骨欠損モデルと大腿骨欠損も出るでの所見から、頭蓋骨では、10microgramを投与した際に骨誘導が確認されたが、投与量を増加してもその効果に相違はなかった。また、大腿骨では2microgramで活発な骨形成が見られた。本研究では、NELL1を2-5microgram投与した際の効果について再確認し、臨床応用の可能性を解析した。その結果、頭蓋骨と大腿骨におけるNELL1の作用量に差があることが明らかとなった。すなわち、in vivoにおいて、大腿骨に存在する骨芽細胞系細胞により低濃度で作用することが示された。また、これまでシリコンモールド内への血管を有したままの脂肪組織埋入系にBMPを投与することで、モールドの立体構造そのままの形態を有する骨組織の誘導を示してきたが、この系にNELL1を投与したところ、脂肪組織内に上皮様構造が誘導された。電子顕微鏡による解析で、脂肪滴を有する細胞が細胞間接着装置を形成し、周囲結合組織との間に基底膜を形成した。更に、細胞内部の脂肪滴からより電子密度の高い小型の分泌顆粒構造を形成し、細胞間隙に分泌している所見も観察された。これらの結果は、脂肪細胞の上皮細胞への転換、すなわち、mecenchyma- epithelial transition (MET)を示すものであり、NELL1の新しい機能の発見だけでなく、MET研究へ新たな知見と情報の提供となるものである。
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