2011 Fiscal Year Research-status Report
カイコウイルス多角体を用いたBMP-2固定化徐放製剤による新規骨再生療法の確立
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23593002
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Research Institution | Kanagawa Dental College |
Principal Investigator |
大見 寧 神奈川歯科大学, 歯学部, 助教 (10318892)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 剛一 神奈川歯科大学, 歯学部, 准教授 (60199867)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 多角体 / BMP-2 / 骨再生 / アテロコラーゲン |
Research Abstract |
【研究目的】BMP-2は優れた骨誘導能から骨再生医療に期待されてきたが、効果的な徐放性キャリアがなく臨床応用が進んでいない。多角体とは昆虫ウイルスが作るたんぱく質微結晶性ウイルス封入体で、様々なタンパク質を固定化しタンパク質を徐放することができる。われわれはウイルス多角体にBMP-2を固定化したBMP-2徐放剤を骨欠損部に移植し、骨再生の有用性について検討した。【研究方法】ラット頭頂骨に直径9mmの貫通型骨欠損を形成し移植床を作製した。実験群はBMP-2固定化多角体1.8x107個(5μgのrhBMP-2に相当)を含浸させたコラーゲン膜を移植した群(group1)、空の多角体1.8x107個を含浸させたコラーゲン膜を移植した群(group2)、そしてrBMP-2(5μg)を含浸させたものを移植した群(group3)とした。移植後5週と10週に標本を採取し、エックス線、組織学的解析を行った。【研究結果】移植5週後のエックス線所見で、group1では欠損部に不均一な不透過像を認めたが、group2とgroup3では欠損部の明らかな不透過像はみられなかった。組織学的所見では、group2とgroup3では骨欠損部は繊維性結合織の占有がみられたが、group1では新生骨の形成を認めたことより、多角体からのBMP-2徐放は周辺の骨前駆細胞を刺激し、骨形成を促すものと考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラット頭蓋骨骨欠損部へのBMP-2多角体移植に際して、アテロコラーゲン膜がキャリアーとして予想以上に効果を発揮したのではないかと考えている。再生骨の評価方法に関しても、軟エックス線、組織学的解析、そして外部委託したμCT解析が順調に進んだことが大きな理由と考える。
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Strategy for Future Research Activity |
大動物(成犬)を用いた骨再生実験を行った場合も、本年度の研究結果と同じように、BMP-2多角体により骨誘導が成されるか詳細に検討する必要性がある。再生骨の組織学的解析においては、より精密に再生骨を評価する目的で、ビラネバ染色を導入する予定である。また画像解析においても、解析ソフトを駆使して、骨密度、骨質等を正確に示す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
組織解析は特殊染色を中心に行うため、外部委託中心に使用する必要性があると考える。また最新の骨解析ソフトを使うため、解析ソフト起動用のパーソナルコンピューターの購入も必要と考えている。
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