2011 Fiscal Year Research-status Report
新規変形性顎関節症モデルマウスの確立とその有用性に関する基盤的研究
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23593004
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Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
濱田 良樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70247336)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 さつき 日本歯科大学, 歯学部, 准教授 (10386253)
熊谷 賢一 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10518129)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 変形性顎関節症 / STR/Ort マウス |
Research Abstract |
STR/Ort マウスは、加齢とともに膝関節の退行性変化が進行する変形性膝関節症自然発症モデルとして知られており、25~35週齢で組織学的にヒトに類似した膝OAを後肢に自然発症(85%)する。一方、本マウスの顎関節における形態的な変化については全く報告されていない。そこで本研究では、本マウスの顎関節OAモデルとしての有用性を検討するため、下顎頭軟骨の変性を組織化学的に明らかにすることを目的とした。 23年度は予備検討として雄のSTR/Ortマウス13匹を実験対象動物として用い、対照として雄のCBA/JNマウス6匹を使用し、9週齢から50週齢まで経時的に観察を行った。マウスを灌流固定し顎関節部と膝関節部の試料を得た。その後、 4℃の10%EDTA溶液にて約8週間、脱灰した。下顎窩と下顎頭を一塊とした顎関節部を切り出し、通法に従ってパラフィン包埋し、外側から4µmの顎関節矢状薄切組織切片を作製し、ヘマトキシリン-エオジン(HE)染色、トルイジンブルー(TB)染色を実施した。実験群13匹のうち2匹(40週齢と50週齢のマウス)に片側性の骨変化を認めた。下顎頭は関節腔に面する線維性被膜、軟骨性被蓋、骨質からなるが、実験群では関節結節の軟骨層が破壊され、下顎頭の表層から増殖層にいたる積層構造が不明瞭となり、分化層、肥大軟骨層の剥離、脱落を伴う骨変形を認めた。軟骨細胞の形態変化、軟骨下骨の露出も観察された。TBにおいては染色性が減弱し、関節腔内にはTBに濃染した軟骨様組織、骨体を認められた。本マウスでの下顎頭に自然発症した軟骨基質および軟骨細胞の形態変化はヒト顎関節OAの組織像に類似しており、顎関節OAモデルとして有用である可能性が高いことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本マウスの顎関節部でのOA変化を組織学的に明らかにすることが出来たので、進行状況としては概ね順調であると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度は本マウスの個体数を増やすため、昨年度の個体復元作業に継続して繁殖業務を外部業者に委託する。個体数が確保された後に当大学の動物実験施設において飼育を開始し、μCTを撮影しながら顎関節部の形態変化を確認する。加えて、OA発症時の顎関節部組織の定量PCR法による遺伝子発現解析も研究代表者および分担研究者の直接経費より捻出して実施する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度は本マウスが凍結受精卵で保存されており、個体復元作業を外部業者に委託したため、直接経費その他より経費を捻出し実施した。研究分担者の熊谷が担当する遺伝子発現解析が昨年度は実施されなかったため、熊谷分担分の研究費は個体復元業務への経費として使用した。これに伴い、直接経費の解析に関わる分の残額が発生した。平成24年度は本マウスの繁殖業務を同様に直接経費その他より経費を捻出して実施し、遺伝子発現解析を直接経費の物品費より計上して実施する予定である。
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Research Products
(1 results)