2013 Fiscal Year Annual Research Report
揮発性麻酔薬による虚血心筋保護効果におけるオートファジーの役割の解明
Project/Area Number |
23593008
|
Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
宮前 雅見 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20298821)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂前 尚親 大阪歯科大学, 歯学部, 名誉教授 (60115889)
金田 一弘 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (90533886)
杉岡 伸悟 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (90278573)
小谷 順一郎 大阪歯科大学, 歯学部, 教授 (40109327)
|
Keywords | sevoflurane / heart / cardioprotection / autophagy / ischemia |
Research Abstract |
セボフルランプレコンディショニング(Sevo PC)の細胞内メカニズムの一つとして活性酸素が関与するといわれている。セボフルランの投与により生じる少量の活性酸素は、シグナル伝達のセカンドメッセンジャーとして働き、細胞内のエネルギーセンサーである5’ AMP-activated protein kinase (AMPK)を介して、心筋を保護する。また、AMPKは細胞のホメオスタシスに重要であるオートファジーに必須の酵素でもある。そこで、Sevo PCのメカニズムの一つである活性酸素がオートファジーを介してその効果を発揮するか検討した。モルモットの心臓をLangendorff灌流装置にて灌流し、30分の虚血、120分の再灌流を行った(CTL群)。虚血前にセボフルランを投与した群(SEVO群)、活性酸素消去剤MPGを投与した群(MPG群)、SEVO群にMPGを添加したものをSEVO+MPG群とした。血行動態、梗塞サイズを測定し、電子顕微鏡にてオートファゴソームを観察した。ウエスタンブロット法にて、オートファジー関連蛋白の発現について検討した。梗塞サイズは、SEVO群でCTL群に比し減少し、その保護効果はMPG付加により消失した。また、CTL群に比し、SEVO群でオートファゴソームが多く、SEVO+MPG群では、その数が減少した。ウエスタンブロット法では、オートファジー関連蛋白がSEVO群で有意に増加し、これらの効果はMPGによって消失した。最近の研究で、活性酸素とオートファジーが麻酔プレコンディショニングにおいて、心筋を保護することがわかってきているが、本研究はSevo PCによる心筋保護に、この二つのメディエーターがともにリンクしていることを初めて明らかにしたものである。さらに解明が進めば、心臓にリスクのある患者の麻酔法や周術期管理に有用な知見を与えることができる。
|