2011 Fiscal Year Research-status Report
骨延長術により上顎側方偏位を改善する際の牽引力の解析
Project/Area Number |
23593019
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
馬場 祥行 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (70251535)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 聖一 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (90187732)
辻 美千子 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (90345281)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 骨延長術 / 牽引力 / 張力センサ / 上顎骨 / 側方偏位 |
Research Abstract |
上顎の著しい形態異常を呈する先天性疾患の症例においては、上顎の前後的な劣成長のみならず側方への偏位を示すものも少なくない。本研究においては、創外型骨延長装置であるRED systemに超小型張力センサを組み込むことにより、上顎を前方および側方に牽引する際の牽引力、すなわち上顎骨にかかる力の大きさを経時的および経日的に計測し、RED systemによる上顎骨延長術のモニタリングを図ることに着目した。骨延長術による上顎の三次元的な移動を行う症例において、牽引力の分布を解析することを本研究の目的とした。 RED systemはその牽引装置が複雑な構造である上に、口唇部に近接して装着される。そのために、装置の外から計測器にて牽引ワイヤーの張力を正確に計測することは困難である。顎顔面領域における骨延長時にかかる力の大きさの正確な計測結果に関しては、研究代表者らが23mmにまで小型化、改良した張力センサを用いて学会報告しているのみである。研究初年度の主な研究計画は、上顎の前方および側方への移動を目的とする骨延長術について、センサのさらなる縮小化を図ることとした。 当該年度の実績としては、張力センサの接続部の形態を改良することによりさらに19mmにまで小型化することに成功した(SSK社製、LT6の改良型)。 RED system のスピンドルユニットに、超小型張力センサを連結して設定し、センサからインタフェイスを介し、パーソナルコンピュータにて出力表示するセットアップを構築した。口腔に近接して使用のため、センサの耐水性および接続コードの強度を確認した。本研究にてRED systemに適用する側方偏位改善のためのワイヤーは牽引方向の調節が可能であり、臨床適用に問題ないようセットアップの確認を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
RED systemはその牽引装置が複雑な構造である上に、口唇部に近接して装着される。そのために、装置の外から計測器にて牽引ワイヤーの張力を正確に計測することは困難である。当該年度の実績としては、張力センサの接続部の形態を改良することによりさらに19mmにまで小型化することに成功した(SSK社製、LT6の改良型)。 RED system のスピンドルユニット(牽引用スクリューにより装置を活性化する部分)に、超小型張力センサを連結し、スクリューの活性化によりセンサに張力がかかるよう設定した。センサからインタフェイスを介し、パーソナルコンピュータにて出力表示するセットアップを構築した。口腔に近接して使用のための耐水性および接続コードの補強に関して、臨床適用可能であることを確認した。本研究にてRED systemに適用する側方偏位改善のためのワイヤーは、牽引方向の調節が可能であり、本研究において臨床上使用に問題ないようセットアップの確認を行った。 ただし、作製した超小型張力センサをワイヤーにて強度試験機に連結し荷重した際の計測値の基礎データについては、現時点で得られていない。 以上、当該年度の研究目標はおおむね達成したが、張力計の精度の基礎データの収集に関しては不十分である。
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Strategy for Future Research Activity |
基礎実験として、油圧サーボ式強度試験機を用いて、本計測系の精度について検討する。本研究にてRED systemに適用する側方偏位改善のためのワイヤーは、牽引方向の調節が可能であるので、基礎実験においても牽引方向を前後方向から 0, 30, 45, 60°と設定し、センサの計測値を出力表示・保存することにより、本計測系の臨床上の精度について検討する。 加えて当該年度には、臨床データの蓄積を図る。RED systemの活性化の前後で張力の計測を行う。活性化前の牽引ワイヤーの張力が片側の活性化により上昇し、反対側は下降するが、2本の牽引ワイヤーを交互に活性化することの繰り返しにより両側の牽引力が上昇していくという結果が得られている。しかしながら、上顎偏位の改善を図る症例においては、前方移動の2本のワイヤーに加え、偏位改善のための追加ワイヤー(3本目)を設置するので、計測結果はさらに複雑となるものと推察される。さらに活性化後には、僅かながらも徐々に張力が減少する傾向があり、これは活性化による牽引力の上昇により上顎が移動していることを示しているものと推察されている。また、当分野では延長術の終了に際して、あらかじめオーバーコレクションを行い十分な前方移動が達成された後、牽引用スクリューの巻き戻しにより牽引力を下げ、その後の上顎の後戻りの傾向を観察した後に、創外固定装置を撤去している。したがって、スクリューを巻き戻して徐々に力を弱めた際の張力の変化に関しても経時的に計測することにより、創外固定装置撤去後の保定に必要な力の大きさの決定に役立てる。 上記の計測を経日的に行い、その変化を記録する。さらに、症例数の蓄積により結果の統計解析を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として張力センサ(ST6-5S)を2個購入するとともに、データ分析用のラップトップコンピュータの費用等を計上している。結果発表および情報収集のための国内・外国旅費、ならびに業績出版のための費用を計上した。
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Research Products
(10 results)
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[Presentation] Russell-Silver症候群の頭部X線規格写真を用いた顎顔面形態に関する検討.2011
Author(s)
佐藤智美,澤田紘美,小川卓也,吉崎正子,大隈瑞恵,志賀百年,辻美千子,佐藤麻緒,馬場祥行,金田一純子,須田直人,森山啓司
Organizer
第70回日本矯正歯科学会
Place of Presentation
名古屋
Year and Date
2011.10.19
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[Presentation] 当分野の口蓋裂症例における合併症状に関する検討.2011
Author(s)
大宅彩,小川卓也,阿彦希,佐藤麻緒,片岡恵一,井口隆人,小林起穂,東堀紀尚,春山直人,馬場祥行,森山啓司
Organizer
第70回日本矯正歯科学会
Place of Presentation
名古屋
Year and Date
2011.10.19