2011 Fiscal Year Research-status Report
歯肉歯槽骨リモデリングにおけるペリオスチン発現制御による歯肉退縮回避の追求
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23593020
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
金香 佐和 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (80372449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 芳郎 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20292980)
簡野 瑞誠 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40345301)
細道 純 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (00420258)
石田 雄之 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 医員 (00516297)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯肉 / ぺリオスチン / 歯槽骨 |
Research Abstract |
ペリオスチンは、歯周組織・骨組織では歯根膜と骨膜に特異的に発現する細胞外マトリックスタンパク質で、メカニカルストレスに応答するといわれているが、これまで歯肉における報告はない。咬合刺激低下歯の周囲歯肉では組織成分が変化し、例えば、開咬の前歯歯肉では発赤・腫脹が認められ、低位唇側転位した犬歯では矯正治療により歯肉退縮を起こしやすい。そこで我々は、このような歯肉組織の変化に歯槽骨骨膜を通してペリオスチンが関与しているのではないかと考え、「実験的歯肉退縮モデルの確立およびペリオスチンの局在の観察」という実験目的のもと、実験を行った。まずは、実験的歯肉退縮モデルの確立を目的に、12週齢SD系雄性ラットを用いて、Suhr et al. (2002)の方法に準じ、上顎切歯にバイトプレートを、下顎切歯にメタルキャップを装着し、臼歯部の咬合刺激を排除し、咬合刺激低下状態にした。2週間後にワイヤーにて上顎第一臼歯に舌側方向に矯正力をかけ、移動開始7日後、14日後に屠殺を行った。次に、歯周組織の形態学的観察を行うべく、歯の移動量および移動様相の観察をμCTによる歯槽骨構造解析、硬組織時刻描記法による歯槽骨形態計測を行った。その結果、実験モデルが歯槽骨レベルにおいて、リモデリングに影響を与えていることが判明した。矯正治療後に、患者が健全な歯周組織を獲得し、機能的、審美的満足度を上げるためには、歯肉退縮を起こさないようにすることが重要である。従って、歯肉歯槽骨リモデリングにおけるペリオスチンの関与を明らかにし、その発現制御により歯肉・歯槽骨再生を行う基盤を確立することは、歯科矯正学に寄与するところ甚大であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験モデルを確立し、組織学的解析を開始した。
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Strategy for Future Research Activity |
歯根膜の代謝は酸素状態に大きく影響され、継続した低酸素状態が歯根膜細胞の細胞死を誘導することが報告されている。低酸素-再酸素化を繰り返す間歇的低酸素状態では、歯根膜細胞から骨吸収性因子の産生が誘導されたことが報告されている。間歇的な低酸素状態が組織および細胞障害を惹き起こす機序として、再酸素化により活性酸素が遊離し、酸化ストレスによる反応が現れてくると考えられる。したがって、歯周組織の代謝や再生に低酸素状態がどのように影響するのか検討する必要がある。そこで、酸素状態の変化により惹き起こされる歯根膜細胞の分化や増殖、細胞死等へ及ぼす影響について、生化学的、組織学的に検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当分野に現存する施設・設備、研究環境、および当研究機関共同実験施設のもとに実験は可能であり、目的のタンパク分子のmRNA発現をin situ hybridization法にて観察を行う際に必要なPCR法についても当分野で行える設備は調っているが、電気泳動装置については頻繁に使用する予定であり、また消耗品については新たに購入が必要である。
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Research Products
(3 results)