2013 Fiscal Year Research-status Report
歯肉歯槽骨リモデリングにおけるペリオスチン発現制御による歯肉退縮回避の追求
Project/Area Number |
23593020
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
金香 佐和 東京医科歯科大学, 歯学部, 非常勤講師 (80372449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松本 芳郎 東京医科歯科大学, 歯学部附属病院, 講師 (20292980)
簡野 瑞誠 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (40345301)
細道 純 東京医科歯科大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00420258)
石田 雄之 東京医科歯科大学, 学内共同利用施設等, 助教 (00516297)
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Keywords | 歯肉 / ぺリオスチン / 歯槽骨 |
Research Abstract |
これまで動物モデルを用いて、咬合刺激低下にともなう歯根膜の萎縮や骨性癒着、歯槽骨量の減少、さらに、咬合刺激低下歯の矯正移動に着目し、メカニカルストレス喪失による歯周組織の恒常性の破綻について報告してきた。臨床的には、咬合刺激低下歯の周囲歯肉では組織成分が変化し、例えば、開咬の前歯歯肉では発赤・腫脹が認められ、低位唇側転位した犬歯では矯正治療により歯肉退縮が認められることがしばしばある。 ところで、ペリオスチンは、歯周組織・骨組織では歯根膜と骨膜に特異的に発現する細胞外マトリックスタンパク質で、メカニカルストレスに応答するといわれているが、これまで歯肉における報告はない。 そこで我々は、このような歯肉組織の変化に歯槽骨骨膜を通してペリオスチンが関与しているのではないかと考え、「実験的歯肉退縮モデルの確立およびペリオスチンの局在の観察」という実験目的のもと、12週齢SD系雄性ラットを用いて実験を行った。その結果、実験モデルが歯槽骨レベルにおいて、リモデリングに影響を与えていることが判明した。 矯正治療後に、患者が健全な歯周組織を獲得し、機能的、審美的満足度を上げるためには、歯肉退縮を起こさないようにすることが重要である。従って、歯肉歯槽骨リモデリングにおけるペリオスチンの関与を明らかにし、その発現制御により歯肉・歯槽骨再生を行う 基盤を確立することは、歯科矯正学に寄与するところ甚大であると考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験モデルを確立し、組織学的解析を行った。
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Strategy for Future Research Activity |
歯根膜の代謝は酸素状態に大きく影響され、継続した低酸素状態が歯根膜細胞の細胞死を誘導することが報告されている。低酸素-再酸素化を繰り返す間歇的低酸素状態では、歯根膜細胞から骨吸収性因子の産生が誘導されたことが報告されている。間歇的な低酸素状 態が組織および細胞障害を惹き起こす機序として、再酸素化により活性酸素が遊離し、酸化ストレスによる反応が現れてくると考えられる。したがって、歯周組織の代謝や再生に低酸素状態がどのように影響するのか検討する必要がある。そこで、酸素状態の変化によ り惹き起こされる歯根膜細胞の分化や増殖、細胞死等へ及ぼす影響について、生化学的、組織学的に検討する。また、歯根膜の幹細胞を介した骨再生を目標に、歯根膜における幹細胞の維持を担う微小環境である“幹細胞ニッチ”の骨形成機構へのメカニカルストレスの関与を同定することを目標とする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度、24年度に実験的歯肉退縮モデルの確立を行い、歯周組織の組織学的な検討を行ってきた。平成25年7月から現在まで、文部科学省の勧告に基づき、所属研究機関の動物実験施設の改築工事が行われ、付随して、動物実験および実験動物の飼養を原則停止するとの学内指示があり、平成25年度の計画を実施できない状況である。動物実験施設再開後、平成26年度に、25年度の計画を実施し、未使用額はその経費に充てる予定である。 平成25年度に計画した動物実験の実施と、その後の生化学的な検討を行うに際し、必要な実験動物および消耗品の購入に使用する。さらに、得られたデータを国内外に学術発表するための必要経費(論文投稿料等)として使用する予定である。
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