2011 Fiscal Year Research-status Report
食道粘膜の感受性が顎口腔系のパラファンクションに与える影響の解明
Project/Area Number |
23593036
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
友成 博 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70398288)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
八木 孝和 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
上村 裕希 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (50464467)
前田 綾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10457666)
植田 紘貴 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (10583445)
原田 秀逸 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (60128452)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 胃食道逆流 / パラファンクション / 口腔機能 |
Research Abstract |
本研究では、食道粘膜の感受性が顎口腔系のパラファンクションに与える影響を解明するため、咽・喉頭および食道粘膜の化学受容メカニズムを分子生物学的・電気生理学的手法により解析することが目的である。本年度は、口蓋咽頭部における味覚の機能特性を検討するため、味覚情報伝達に関与するGタンパク質gustducinのノックアウトマウスとワイルドタイプマウスを用い、電気生理学的手法により、軟口蓋を支配する大錐体神経を苦味および甘味溶液で刺激したときの神経応答特性を抽出した。次に、分子生物学的手法により、軟口蓋部において、苦味受容体であるT2rsと甘味受容体であるT1r2+T1r3ヘテロダイマーとgustducinとの共発現パターンをin situ hybridizationを行い解析した。神経応答の解析の結果、軟口蓋部は、特に苦味刺激に対して強い応答を示したが、gustducinのノックアウトマウスでは、苦味応答に対する閾値は上昇していた。また、ブ分子生物学的手法による解析の結果、gustducinと苦味受容体T2rsの発現パターンは、T2rsを発現する細胞は主にgustducinを共発現していた。よって、口蓋咽頭部に分布する味細胞は、苦味刺激に対する感受性は高く、これらの受容メカニズムには味覚受容Gタンパク質であるgustducinが重要な役割を担っていることが明らかとなった。これらの研究成果は、国際雑誌に投稿、受理された。今回の知見は、「胃食道逆流による化学刺激が咽・喉頭および食道に分布するこれら分子センサーを介した感覚がトリガーとなり、覚醒時の不快症状や睡眠時ブラキシズムを惹起する」とする我々研究グループの仮説の基礎的な知見となる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、基礎研究として、口蓋咽頭部における各種化学刺激に対する化学受容メカニズムを分子生物学的・電気生理学的手法により解析し、国際雑誌に投稿・受理された。また、消化器疾患と顎口腔系パラファンクションの相互関係を明らかにする疫学調査についても、食道部の不快感、胸やけ、睡眠障害等の症状を呈する胃食道逆流症に罹患する患者の、顎顔面形態および口腔機能(咬合状態、顎運動検査、唾液流出率、上部消化器疾患の有無等を調べる検査)のデータ採得、解析も順調に進行している。
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Strategy for Future Research Activity |
研究実施計画にある疫学調査については、継続して、消化器疾患と顎口腔系パラファンクションの相互関係を明らかにするため、食道部の不快感、胸やけ、睡眠障害等の症状を呈する胃食道逆流症に罹患する患者について、顎顔面形態および口腔機能に関与する顎運動や筋電図を解析し、上部消化器疾患と咀嚼機能との関連を解析する。また、動物実験では、咽・喉頭および食道の化学刺激に対する神経インパルスの解析を進める。さらに、動物実験:胃食道逆流ラットモデルによる非機能的顎運動パターンの解析については、我々が開発した胃食道逆流ラットモデルを用いて、食道への胃内溶液である胃酸、胆汁酸、ペプシン、トリプシン刺激時に誘発される非機能的咀嚼筋活動と顎運動パターンを解析する予定である
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
疫学調査を継続して行うために、研究協力被験者への謝金と採得データの解析に使用する顎運動解析ソフトの開発費用を計上している。また、動物実験において、神経応答インパルスの解析に必要な実験動物と飼料、各種化学刺激物質を計上している。さらに、胃食道逆流ラットモデルによる非機能的顎運動パターンの解析には、磁電変換素子のホール素子と永久磁石のネオジミウム磁石を組み合わせたシステムを構築する必要があるため、顎運動測定システムに必要な3軸自動パネルステージ、多軸ステッピングモーターコントローター、精密除振台、高精度ローパワー計側アンプおよび実験動物と飼料、スリップリング、手術用器具、電極、固定ねじ等をその費用として計上している。
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Research Products
(2 results)