2013 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原因子と過大な機械的刺激が歯の移動の細胞シグナリング機構に及ぼす影響の解明
Project/Area Number |
23593037
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
前田 綾 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (10457666)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮脇 正一 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295807)
八木 孝和 鹿児島大学, 医学部・歯学部附属病院, 講師 (10346166)
友成 博 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (70398288)
松口 徹也 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10303629)
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Keywords | 機械的刺激 / 矯正治療 / 骨改造 / 炎症性反応 / ケモカイン / サイトカイン / TLR / 細胞内シグナル伝達 |
Research Abstract |
前年度までに、 MyD88ノックアウトマウス(以下MyD88(-/-))の骨芽細胞に圧刺激を負荷した場合、炎症性メディエーターであるケモカインMIP-2とMCP-1の発現は、MyD88(+/+) (以下WT)の骨芽細胞と比較して減少することを確認した。今年度は、さらに、シグナル伝達経路について解析を行った。その結果、WTの骨芽細胞にIL-1βの中和抗体を添加した状況下において圧刺激を負荷した場合、MIP-2とMCP-1の発現は増加しなかった。また、WTの骨芽細胞にIL-1βを添加した場合、両ケモカインの発現は増加し、MAPキナーゼのリン酸化が増加したが、MyD88(-/-) の骨芽細胞では、IL-1βを添加してもケモカインの発現増加とMAPキナーゼのリン酸化の増加は認められなかった。このことから、骨芽細胞の機械的刺激によるケモカインの誘導には、IL-1βが必要で、MyD88を介したシグナル伝達経路とMAPキナーゼカスケードが関与することが示唆された。これらの結果を、日本矯正歯科学会学術大会にて報告した。また、臨床研究においては、口唇口蓋裂患者の骨移植後の骨架橋の長期的評価を行い、骨架橋の変化と予後に関与する因子を明らかにした。結果から、骨移植後6-12か月時の骨架橋は、マルチブラケット装置による治療後の骨架橋と同じである確率が高く、骨移植後6-12か月時の骨架橋の評価は中切歯側の骨量に依存していた。従って、骨移植後6-12か月の中切歯側の骨量がMB後の骨架橋の指標となることが示唆された。また、骨移植後6-12か月では不良な骨架橋であっても、骨移植後早期に移植骨部へ歯の移動を行った場合、良好な骨架橋へ変化する症例も認められたことから、歯の移動による移植骨への機械的刺激は、骨架橋の維持にとって有益である可能性が示唆された。これらの結果を、国際誌(CPCJ)にて報告した。
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