2011 Fiscal Year Research-status Report
小児期続発性ステロイド性骨粗鬆症における破骨細胞の骨吸収機構の解明
Project/Area Number |
23593039
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
牧 憲司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60209400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 破骨細胞 |
Research Abstract |
成人における続発性ステロイド性骨粗鬆症の治療および管理には、ビスホスホネート(BP)が第一選択薬として用いられている。しかし、BPの長期投与による骨質の低下や、特に近年報告されている顎骨壊死などの副作用が問題視されている。また、小児にBPを長期投与すると成長抑制が報告されており、BP投与の適応症は重篤な骨形成不全症などに限られている 。しかし、成長期の小児においては、骨成長を抑制せず、かつリバーシブルな骨吸収抑制剤の開発が望まれている。非受容型チロシンキナーゼ分子であるc-Src遺伝子欠損マウスは、破骨細胞が存在するものの、波状縁を形成しておらず、骨吸収できないことによる大理石骨病を呈する。このことは破骨細胞が骨吸収をおこなう上で、Srcが重要な役割を担っていることを示唆する。しかしながら、Srcのチロシンキナーゼによってリン酸化される分子については良くわかっていない。そこで分子生物学的手法を用いて、破骨細胞でp130Casの発現を抑制したり、p130Casの機能を発現できない遺伝子変異体を過剰発現させることで破骨細胞による骨吸収能をアクチンリングを指標に検討する。さらに、p130Casを破骨細胞特異的に欠損させるコンディショナルノックアウトマウス(OC-p130CasKO)を作製し、破骨細胞におけるp130Casの機能を個体レベルで検討した。p130Cas shRNAまたはドミナントネガティブ型p130Casを発現させ、p130Casの機能を抑制するとアクチンリングをもつ破骨細胞が減少した。また、破骨細胞特異的p130Casノックアアウト(OC-p130CasKO)マウスを用いた実験でも予想通りの結果が得られた。これらの結果から、破骨細胞の骨吸収にp130Casが重要な役割を担う可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
p130Cas shRNAまたはドミナントネガティブ型p130Casを発現させ、p130Casの機能を抑制するとアクチンリングをもつ破骨細胞が減少した。また、破骨細胞特異的p130Casノックアアウト(OC-p130CasKO)マウスを用いた実験でも予想通りの結果が得られた。これらの結果から、破骨細胞の骨吸収にp130Casが重要な役割を担う可能性が示唆された。
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Strategy for Future Research Activity |
in vitroの実験では、我々の予想通り、p130Casの機能を抑制するとアクチンリングを持たない破骨細胞が誘導された。しかし、OC-p130CasKOマウスではSrc欠損マウスのような大理石骨病を示さなかった。このことは、p130Cas以外にSrcの下流分子として働く分子が存在する可能性が考えられる。つまり別のCas分子によってp130Casの機能が代償される可能性が考えられたため、CasLKO マウスと交配させることで破骨細胞でp130Cas/CasL2重欠損マウスを作製し、解析する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
破骨細胞の骨吸収を制御する分子として唯一明らかになっているc-Srcのシグナル伝達経路、およびそれに関与する分子の機能を明らかにし、破骨細胞による骨吸収の分子機構を解明することを目指す。そこで本実験では、1.分子レベルでの解析:c-Srcの分子機能を明らかにし、c-Srcの下流として働く分子を同定する。2.シグナル伝達経路の解析:c-Srcを中心に分子生物学的手法によりその活性化シグナル伝達経路を明らかにする。3.細胞レベルでの解析:同定した分子をc-src欠損マウス由来の細胞に遺伝子導入し、破骨細胞の骨吸収能を評価する。4.個体レベルでの解析:同定した分子に対する遺伝子改変動物の作製を検討する。
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