2012 Fiscal Year Research-status Report
小児期続発性ステロイド性骨粗鬆症における破骨細胞の骨吸収機構の解明
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23593039
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Research Institution | Kyushu Dental College |
Principal Investigator |
牧 憲司 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (60209400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
自見 英治郎 九州歯科大学, 歯学部, 教授 (40276598)
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Keywords | osteoclast / p130Cas / Bone resorption / Actin cytoskeleton |
Research Abstract |
目的:小児続発性ステロイド性骨粗鬆症の第一選択治療であるビスホスホネート製剤は、長期投与により顎骨壊死や骨の成長を抑制する。骨成長を抑制せず、リバーシブルな骨吸収抑制剤が必要である。破骨細胞の骨吸収を制御する分子としてc-Srcに着目した。src欠損マウス由来の破骨細胞ではp130Casが活性化されないことから、Src-p130Cas axisが骨吸収に重要な役割を担っていると考え、破骨細胞での骨吸収におけるp130Casの役割を検討した。 方法および結果:p130Cas欠損マウスは早期胎生致死であるため、破骨細胞特異的にp130Casをノックアウト(OC-p130CasKO)したマウスを作製し、破骨細胞の骨吸収での p130Casの役割を検討した。OC-p130CasKOマウスの脛骨、大腿骨を摘出し、軟X線とμCT撮影の結果、野生型マウスと比較して骨量の増加が認められた。組織像においてOC-p130CasKOマウスでは対照マウスと同様に破骨細胞が存在したので、破骨細胞機能が低下していると考えられた。対照マウスおよびOC-p130CasKOマウス由来破骨細胞を象牙片上に播種し、吸収窩の面積を比較すると、OC-p130CasKOマウス由来破骨細胞では吸収窩形成も抑制された。OC-p130CasKOマウス由来の破骨細胞はc-Src および Pyk2 のリン酸化などp130Casの上流のシグナルや成熟破骨細胞のマーカーの発現に変化がなかった。OC-p130CasKOマウス由来の破骨細胞に野生型p130Casを遺伝子導入するとアクチンリング形成が回復したが、p130Casの機能を抑制したドミナントネガティブ型p130Casを発現させても回復しなかった。 結論:Src-p130Cas axisは、BP製剤にかわる骨吸収を調節するターゲット分子になると考えられ、臨床への展開も期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記に記したようにp130Casをノックアウト(OC-p130CasKO)したマウスを作製し、破骨細胞の骨吸収での p130Casの役割を検討した。OC-p130CasKOマウスの脛骨、大腿骨を摘出し、軟X線とμCT撮影の結果、野生型マウスと比較して骨量の増加が認められた。組織像においてOC-p130CasKOマウスでは対照マウスと同様に破骨細胞が存在したので、破骨細胞機能が低下していると考えられた。対照マウスおよびOC-p130CasKOマウス由来破骨細胞を象牙片上に播種し、吸収窩の面積を比較すると、OC-p130CasKOマウス由来破骨細胞では吸収窩形成も抑制された。OC-p130CasKOマウス由来の破骨細胞はc-Src および Pyk2 のリン酸化などp130Casの上流のシグナルや成熟破骨細胞のマーカーの発現に変化がなかった。OC-p130CasKOマウス由来の破骨細胞に野生型p130Casを遺伝子導入するとアクチンリング形成が回復したが、p130Casの機能を抑制したドミナントネガティブ型p130Casを発現させても回復しなかった。Src-p130Cas axisは、BP製剤にかわる骨吸収を調節するターゲット分子になると考えられ、臨床への展開も期待できる。 これらの知見を中心に学会発表や論文投稿を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
p130Casはアクチン重合に関与する分子でSrcの下流分子として破る骨細胞の骨吸収に関わることが示唆されているだけでなく、破骨細胞特異的にp130Casを欠損したマウスでは破骨細胞の機能障害による大理石骨病を呈する。今後我々は、p130Casによるアクチン構成と骨吸収の分子メカニズムについて検討予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
これまでの成果を中心に学会発表(日本小児歯科学会、骨代謝学会)を行う予定である。また試薬、実験用動物購入、飼育餌などの購入が主体である。
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