2012 Fiscal Year Research-status Report
矯正治療に伴う歯根吸収部の破歯細胞形成を誘導するセメント細胞アポトーシスの関与
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23593044
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
葛西 一貴 日本大学, 歯学部, 教授 (30169396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 大 日本大学, 歯学部, 准教授 (60333100)
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Keywords | 歯科矯正学 / 歯根吸収 / 破歯細胞 / アポトーシス |
Research Abstract |
平成24年度はin vitroではヒト歯根膜細胞圧迫側モデルにて誘発されるアポトーシス細胞について検討した。本学付属病院歯科矯正歯科の矯正治療患者に研究内容のインフォームドコンセントを十分に行い,同意を得た上で第一小臼歯の抜歯直後に歯根膜組織を摘出し,採取された歯根膜細胞をout growthさせて4代継代培養して実験に用いた。ヒト歯根膜細胞に至適矯正力である1.0 g/cm2の圧迫力(compression force) を分銅にて24時間与えた。5-(and-6)-carboxy-2′, 7′-dichlorodihydrofluorescein diacetate (carboxy-H2DCFDA) 蛍光染色によって細胞内のReactive oxygen species (ROS) 産生を検討した。また、フローサイトメトリーを用いて細胞周期とアポトーシス分析を行った。細胞の形態変化は、ヘキスト33258染色後、蛍光顕微鏡によって観察した。 その結果、In vitroにおいては、compression force群の歯根膜細胞の細胞内にROS発現が認められた。またフローサイトメトリーにおいて、細胞周期のG1アレスト、アポトーシス細胞の増加が認められた。ヘキスト33258染色では核の断片化などの形態変化が認められた。 以上の結果から、歯根膜組織は至適矯正力によりTNF-α、caspase 8の発現と、ROS産生、細胞周期のG1アレストを通じアポトーシス細胞が発現することにより、矯正学的歯の移動時において、歯根膜組織の恒常性の維持に関与する可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成24年度はin vitroではヒト歯根膜細胞圧迫側モデルにて誘発されるアポトーシス細胞について検討することであった。得られた結果として、compression force群の歯根膜細胞の細胞内にROS発現が認められた。またフローサイトメトリーにおいて、細胞周期のG1アレスト、アポトーシス細胞の増加が認められた。ヘキスト33258染色では核の断片化などの形態変化が認められた。 以上のことから、予定の90%は遂行できているので、研究の進行状況はおおむね順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は骨髄細胞・骨細胞の共培養を行う。この培養方法はすでに本講座で確立しているので、予定通り研究を推進する。 具体的には①三次元培養系を用いた骨髄細胞・骨細胞共培養系にcompression forceを加え、RANKLとケモカイン(IL-8, MIP-1, MCP-1)の産生量と遺伝子発現量を検討する。 ②さらに、骨細胞に紫外線照射を行い人為的にアポトーシスを起こし、CICEB, PYCARD, BAK-1, TNFRSF, BCL-2およびアポトーシス(apoptosis)阻害剤であるカスパーゼ(caspase) 3の発現を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1.細胞培養および三次元培養圧迫モデル:ラット由来間葉系幹細胞(タカラバイオ社:消耗品費)をRat Mesenchymal Stem Cell Adipogenic/Osteogenic Differentiation Kit(タカラバイオ社:消耗品費)にて骨細胞に分化させる。 三次元培養系を用いてラット骨細胞、間質細胞、骨髄細胞を1,25(OH)2D3存在下で培養し、紫外線照射によりアポトーシスを惹起させ、破骨細胞形成をTRAP染色にて確認する。次に上記培養系の骨髄細胞上に歯根膜線維芽細胞を培養し、80 mm micro cover glass(消耗品費)を乗せ、分銅を用いて1.0、2.0、3.0、4.0 g/cm2で3、6、9、12、24時間負荷をかけ、破骨細胞形成をTRAP染色にて確認する。 2. ELISA :圧迫側モデルで負荷をかけた細胞の培養上清を0, 1, 3, 6, 9, 12, 24時間後に採取し、IL-8, MIP-1, MCP-1の産生量を各種ELISA Kit (assay designs Stressgen,:消耗品費)にて測定する。 3. real-time PCR:ラットの骨細胞、間質細胞、骨髄細胞を1,25(OH) 2D3存在下で培養し、紫外線照射によりアポトーシスを惹起させた骨細胞より、また上記の培養系の骨髄細胞上に歯根膜線維芽細胞を培養し、それらにcompression forceを加え、CICEB, PYCARD, BAK-1, TNFRSF, BCL-2の遺伝子発現量の検討を行う。 4. カスパーゼ阻害剤(Z-VAD-FMK)による阻害実験細胞培養液中にアポトーシス阻害剤である Z-VAD-FMKを添加し、3と同様に産生量とmRNAの発現を検討する。
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Research Products
(7 results)