2011 Fiscal Year Research-status Report
二次口蓋成長発育におけるTGF-βシグナル伝達についての解明
Project/Area Number |
23593046
|
Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中嶋 昭 日本大学, 歯学部, 助教 (50297842)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | TGF-beta / 口蓋列 / 二次口蓋 / 分子生物学 / 成長・発育 |
Research Abstract |
【目的】マウス口蓋上皮を用いた器官培養系で、TGF-β type III receptor (TβRIII)をsiRNAで発現抑制した結果、二次口蓋融合遅延を認め、TβRIIIの口蓋形成における重要性を明らかにした。さらに、Type II receptor (TβRII)のknock out mouseは、部分的な口蓋裂を呈していることから、融合に関与していることも知られている。しかし、TβRIIおよびIIIの相互関係およびreceptorからのsignaling pathwayへの影響については、十分に明かとなっていない。そこで、マウス口蓋の器官培養にてTβIIおよびIIIそれぞれのreceptorをsiRNAによりknock downを行い、TβRIIおよびTβRIIIの情報伝達経路について検索した。【試料および方法】マウス胎児E13の二次口蓋についてTβRII/IIIのsiRNAをtransfectionし、72時間まで培養を行った。マウス口蓋をサンプルとし、Western blot法にてそれぞれのreceptorの発現が抑制されているか確認し、口蓋融合に関係の深いtranscription factorの遺伝子発現についてreal time RT-PCR法にて検討を行った。【結果】口蓋の器官培養について、siRNAの濃度依存的にreceptorのタンパク発現は減少し、200nMの濃度のsiRNA transfection条件下で、両receptorを約75%の発現抑制することを確認できた。Transcription factorについては、特にRunx1, T-box22について、発現抑制されていることが判明した。【結論】上記の結果、TβRIIおよびTβRIIIの相互作用によってsignal伝達が行われ、口蓋融合の機能を行っている可能性が示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1.Small interfering RNA (siRNA)処理下における二次口蓋成長発育の観察:胎生13日目のマウス口蓋突起のみ摘出し,フィルター上に試料をのせ,濃度200nMのsiRNAを含有したBGjb medium (Gibco) 溶液にてorgan cultureを行う。2. MEE細胞の単離およびreal-time RT-PCRによるmRNA発現の定量解析:MEE細胞を単離を行った後、mRNA extraction kit(Quiagen)を使用し,MEE細胞のmRNAの抽出を行う。抽出したmRNAより1 st strand RT-PCR法でcDNA合成を行う。PCR rimerを設計合成し,Quantitative real time RT-PCR法により上記遺伝子の増幅を行い,遺伝子発現を検討する。3. Western blot法によるTGF-β遺伝子タンパク発現の定量解析:胎生13日目のマウス二次口蓋をsiRNA処理し,organ cultureしたsampleを,lysis bufferにてhomogenizeを行い,SDS-page Western blot 法にて,Target遺伝子タンパク発現量をコントロールと比較し確認を行う。また,濃度依存性であるかどうかについても検討を加える。 以上1~3に記載した「研究の目的」について、マウス胎児E13の二次口蓋についてTβRII/IIIのsiRNAをtransfectionし、72時間まで培養を行い、Western blot法にてそれぞれのreceptorの発現が抑制されているか確認し、siRNAの濃度依存的にreceptorのタンパク発現は減少し、200nMの濃度のsiRNA transfection条件下で、両receptorを約75%の発現抑制することを確認できた。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度に得られた結果を基にして,平成24年度以降はsiRNA処理した際の,二次口蓋成長発育のphenotypeおよび免疫染色にてdown stream遺伝子およびExtracellular matrix遺伝子発現のdistributionの観察を行う。定量解析においてはWestern blot (SDS-page)法にて,transcription factorおよびExtracellular matrix (ECM)タンパク発現を観察する。さらに,Quantitative real time RT-PCR法にて遺伝子発現の定量解析についても検討を行う。1. 免疫染色siRNAでtransfectしたorgan cultureにて得られたサンプルを4% paraformaldehydeで固定した後,凍結切片を作製し,Zymed immunohistochemistry kit にてECMおよびtranscription factorの抗体を用い,免疫染色を行い発現を観察する。2. Down stream遺伝子およびECM発現の定量解析siRNAのtransfect確認後,Smad2およびSmad3等のdown stream遺伝子のphosphorylationについて観察を行う。 また二次口蓋の成長に関与しているとされているECM,中でもTIMP-2, 4およびMMP-2, 13やMsx, Tbox, Runx等のTranscription factorの発現について,タンパク定量はWestern blot法,遺伝子解析はreal time RT-PC法にて,GAPDH standard遺伝子との比較を行い定量解析を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に申請した予算は、一部平成20~22年文部科学省科学研究費基盤(C)23592415にて購入した試薬が残っており、新たに購入せず48万円程度の支出残金となった。平成24年以降は、平成23年に支給された研究費を含め、新たに試薬を購入し、サンプル数を増やし、dataの確認を行うとともに、Target遺伝子の免疫染色を行う。さらにreceptorのknock downを行った場合のTGF-のdown stream遺伝子、特にSmad2のリン酸化および口蓋癒合に関係の深いtranscription factor(Msx2, Runx, Tbox)についてタンパク発現および遺伝子発現をコントロール群と比較検討を行う予定である。また、TGF-と関係の深いExtra cellular matrix、特にMMP2,4,13およびTIMP2,4についても検討を加える。すなわち、研究費は、実験動物、免疫染色に必要なkit、siRNAを含めたtransfectionを行うために使用する試薬、Western blot試薬および遺伝子の抗体、RT-PCRに使用する試薬およびプライマー合成費に使用する予定である。
|
Research Products
(3 results)