2012 Fiscal Year Research-status Report
幼児における唾液中フッ化物イオン濃度を用いた効果的なフッ化物製剤応用法の検討
Project/Area Number |
23593047
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
内川 喜盛 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (00176679)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白瀬 敏臣 日本歯科大学, 生命歯学部, 講師 (20247018)
岩崎 てるみ 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (60515609)
吉野 園子 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (10549083)
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Keywords | 幼児 / 唾液 / フッ化物 / 低濃度 / 齲蝕予防 / ミュータンスレンサ球菌 / 乳酸桿菌 / 口腔衛生習慣 |
Research Abstract |
2011年に引き続き、幼児の唾液中フッ化物(F)イオン濃度とF製剤使用習慣との関連性、低濃度F製剤添加後の唾液中Fイオンの動態(唾液性状との関連性)を検討する事を目的に、幼児の歯科検診、唾液の採取、唾液中ミュータンスレンサ球菌(MS)および乳酸桿菌(LB)のレベルの測定、また口腔衛生習慣のアンケートを採得した。 追加の資料を加え再検討した結果、前年度同様、唾液中フッ化物濃度とMS、LBレベルとの関連性は認められなかった。しかし、アンケートから得られた口腔衛生習慣との項目から1日のブラッシング回数との関連性を認め、ブラッシング時のフッ化物含有歯磨剤の使用が唾液中のフッ化物濃度に影響を与えていることが示唆された。さらに、幼児の唾液中のフッ化物濃度は再石灰化が期待できる0.02ppm以下であり、積極的なフッ化物製剤の応用の必要性が示唆された。 さらに、唾液中MS、LB、総レンサ球菌レベルと齲蝕状況及び1年後の齲蝕発症との関連性について検討を行った。MSおよびLBと齲蝕状況、発症との関連性は強く認められたが、総レンサ球菌レベルとの関連性は認められなかった。このことから、MSとLBは強い齲蝕の原因因子と考えられ、今後、これらが高レベルへの小児に適切なFイオン濃度を維持するための方法、添加濃度の検討を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
幼児の口腔内診察結果、唾液中のミュータンスレンサ球菌、乳酸桿菌レベルの測定は予定通り進行している。しかし、唾液中のフッ化物濃度測定において、測定機械の故障があり、一時、測定ができない時期があった。現在、再測定の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では、超微量Fの測定が可能なフローインジェクションシステムを応用し、次の項目について明らかにする予定である。 ① 4~5歳幼児を対象として平衡時唾液中のFイオン濃度を精密に測定し、F製剤使用習慣と唾液中Fイオン濃度との関連性を検討することにより平衡時唾液中F濃度の上昇に影響を及ぼすF製剤の摂取方法を明かにする。 ②唾液中への低濃度F製剤の添加によるFイオンの動態(唾液性状との関連性)を検討することにより、試適濃度維持のための添加Fイオン濃度および必要添加量を明らかにする。 ③以上の結果を幼児のための適正なF製剤の使用指針の一助にし、さらにその補助具として臨床の場で使用できる唾液中適正F濃度測定試薬の試作を行う予定である。 さらに結果を集計して学会発表、論文投稿および報告書の作成を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
①24年度に引き続き、1年後の試料の採取と、測定を行う。また新たに20名の被験児の追加を行う。②フッ化物濃度計測装置の修理が完了し、計測可能となったら、遅れていた唾液中フッ化物濃度の測定を開始する。③さらに低濃度F製剤の添加によるFイオンの動態を検討するための実験 ④唾液中F濃度の簡易測定キッドの試作 以上の試料採取、計測、試作時に用いる器材、薬剤、消耗品の購入にあてる予定である。 また、⑤それらの結果を集計、検討し、学会にて発表する。⑥さらにその結果を論文へ投稿予定。 以上の学会への旅費、英文校正、投稿費、報告書の作成費にあてる予定である。
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