2012 Fiscal Year Research-status Report
歯の移動初期の牽引側歯根膜に発現する免疫関連因子の機能解析
Project/Area Number |
23593052
|
Research Institution | Tsurumi University |
Principal Investigator |
中村 芳樹 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10097321)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
野田 晃司 鶴見大学, 歯学部, 教授 (10148059)
新井 千博 鶴見大学, 歯学部, 助教 (10460221)
花田 信弘 鶴見大学, 歯学部, 教授 (70180916)
野村 義明 鶴見大学, 歯学部, 准教授 (90350587)
和田 悟史 鶴見大学, 歯学部, 助教 (20581119)
|
Keywords | 歯の移動 / 歯根膜 / 免疫関連因子 / 遺伝子発現 |
Research Abstract |
歯の移動において牽引側歯根膜の反応についての研究は少なく、骨形成との関連で述べられている程度である。研究代表者らは歯を移動した際の牽引側歯根膜の発現遺伝子のマイクロアレイ解析から、歯の移動初期に免疫関連因子が高発現していることを発見した。本研究では歯の移動初期に牽引側歯根膜に発現した免疫関連因子であるHMGB1, TNF-α1、MMP12, FGL2、とIL-1βについて形態学的、免疫組織化学的、分子生物学的(RT-PCR, タンパク解析)に解析し、骨芽細胞誘導因子であるRunx2やOsterixとの関連を明らかにし、これらの免疫関連因子が、牽引側歯根膜の反応と骨形成にいかなる役割を果たしているのかを明確にし、牽引側の歯の移動のメカニズム、特に牽引側における骨の形成を分子生物学的に解明する。平成24年度は主に免疫組織学的検討を中心に行った。実験方法としては従来の方法によりラット上顎代一臼歯の舌側移動を1,6,12,24時間行い、その際の歯根膜の応答様相について検討した。免疫組織化学的観察には試料を凍結固定し切片を作製して行った。凍結切片においても、形態的観察では歯根膜牽引側では歯の移動1時間で歯根膜腔はわずかに拡大し、6時間で明らかに1/3程度の拡大を示し、時間とともにさらに拡大した。歯根膜線維は歯の移動とともに牽引された様相を示し、24時間後には明らかな線維の緊張がみられた。免疫系の細胞に関係するMMP12の免疫組織化学的所見では、Matrix metaloproteinase 12(MMP12)は歯の移動24時間に強くみられた。特に血管周囲に観察された。また,Interleukin -1β(IL-β)も圧迫側ばかりでなく牽引側にも出現していた。さらにMMP12とED1の2重染色を行うとMMP12とED1は同じ細胞での局在を示した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、歯に移動を行ったラット(6時間、12時間、24時間)を実験群として、移動を行っていない群を対照群としておこなった。実験群として使用するラットの歯の移動方法は、研究代表者らの従来の方法に準じて行った。歯の移動後、形態学的研究では各群のラットをパラホルムアルデハイド固定液で還流固定を施し、EDTA脱灰、包埋した試料と液体窒素下で冷却したイソペンタン中で上顎第一臼歯部を凍結固定し、クリオスタット(歯科矯正学講座)内で無固定非脱灰凍結切片を作製した。その作製した切片を利用して免疫関連因子であるMMP12, IL-1β、ならびにED1の歯根膜における局在を免疫組織学的に検索した。 免疫組織学的所見は歯の移動の牽引側ばかりでなす、圧迫側でも得られた。また、免疫因子の2重染色からも興味ある所見が得られた。しかし、遺伝子レベルでの研究は次年度の課題として残った。 免疫関連因子の抗原の保存性を考慮して凍結切片を使用したが、局在性に問題点がみられたので、現在パラホルムアルデハイド固定液で還流固定を施し、EDTA脱灰、包埋した切片を使用して検索を予定している。
|
Strategy for Future Research Activity |
H24年度の研究で一部遺伝子検索まで行う予定であったが、免疫組織学的検索の実験に時間を費やしてしまった。 従って、平成25年度は遺伝子レベルの解析を中心に行う予定である。 歯の移動は従来の方法で行い、実験群(6時間、12時間、24時間、2日間)ラットと歯の移動を行っていない群を対照群として、ラットの歯の移動を行った後、ラットの上顎第一臼歯部を液体窒素下で冷却したイソペンタン中で上顎第一臼歯部を凍結固定し、クリオスタット内で無固定非脱灰凍結切片を作製する。次いでこれらの連続凍結切片を用いてレーザーマイクロダイセクション法により牽引側歯根膜を直接採取し、免疫関連因子のmRNA発現量の解析(Real time RT-PCR)とタンパク発現量の解析(ELIZA)を行う。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費はその主要な部分は研究に必要な消耗品の購入に充当する。 実験動物(Wistar rat)20 匹(飼料等):50,000 遺伝子解析 RT-PCR:150,000 タンパク解析ELIZA:150,000 非脱灰凍結切片試料作成:100,000 旅費:50,000
|
Research Products
(6 results)