2011 Fiscal Year Research-status Report
歯周炎による老化促進の可能性と老化制御因子による新規歯周治療の開発
Project/Area Number |
23593069
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
長澤 敏行 北海道医療大学, 歯学部, 准教授 (90262203)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 昌宏 北海道医療大学, 個体差医療科学センター, 教授 (70364271)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | FOXO / HbA1c / Diabetes / Periodontitis / Insulin |
Research Abstract |
基礎生物学の結果から老化の主因が炎症などによる活性酸素であることが知られている。また老化により組織再生能は低下するが、現在の再生医療研究は幹細胞が主体であり、再生療法を受ける個体の老化についてほとんど検討されていない。本研究は歯周炎と老化の関係に着目し、歯周炎による老化促進の可能性について検討する。さらに老化制御因子であるFOXOの発現を上昇させることで老化により低下した歯周組織再生能を回復する治療について検討を加える。 老化の主因である活性酸素はグルコース代謝と炎症反応で産生される。細胞はインスリンシグナルによってグルコースを取り込んでエネルギーとして利用し、分化・増殖する。その際に活性酸素が産生されるが、活性酸素は生理的な範囲内でありFOXO経路によって消去される。しかし歯周病などの細菌感染ではTNFなどの炎症性サイトカインシグナルがグルコース代謝経路を抑制する(インスリン抵抗性の成立)。インスリン抵抗性によって組織再生のための細胞の増殖能力は著しく損なわれる。活性酸素は感染した微生物を殺菌する働きを有するため、感染による炎症では多量の活性酸素が産生されて老化が進行する。 本年度は糖尿病患者に対して歯周治療を行い、治療前後の歯周組織の改善と高感度CRP、HbA1cの変化を測定した。歯周炎患者に対して歯周治療前後の歯周組織の改善と高感度CRP、HbA1cの変化を測定した。これによって歯周炎が全身の老化現象に与える基礎的なデータが得られた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
老化した個体においては増殖能の低下や血管の障害によって十分な組織再生が期待できない事が多い。老化は代謝や炎症反応で生じた活性酸素が原因であると考えられており、歯周炎は老化を促進することが示唆される。老化の主因である活性酸素はグルコース代謝と炎症反応で産生される。細胞はインスリンシグナルによってグルコースを取り込んでエネルギーとして利用し、分化・増殖する。その際に活性酸素が産生されるが、活性酸素は生理的な範囲内でありFOXO経路によって消去される。しかし歯周病などの細菌感染ではTNFなどの炎症性サイトカインシグナルがグルコース代謝経路を抑制する(インスリン抵抗性の成立)。インスリン抵抗性によって組織再生のための細胞の増殖能力は著しく損なわれる。活性酸素は感染した微生物を殺菌する働きを有するため、感染による炎症では多量の活性酸素が産生されて老化が進行する。本年度は糖尿病患者に対して歯周治療を行い、治療前後の歯周組織の改善と高感度CRP、HbA1cの変化を測定した。歯周炎患者に対して歯周治療前後の歯周組織の改善と高感度CRP、HbA1cの変化を測定した。これによって実際の臨床における基礎データが得られたため、概ね順調に経緯していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
Klothoマウスは動脈硬化、骨粗鬆症などヒトと同じ老化の経過を辿りながらわずか5週から老化が起こるマウスであり、Klothoマウスをモデルとする事により歯周病が老化を促進する可能性とそれに対する治療法を検討する事が可能となると思われる。Klothoマウスマウスは糖尿病や心臓血管系疾患など他の疾患ではモデルとして用いられるようになって来ているが、歯周病に関しては報告が無い状況である。今後は歯周病が老化そのものを促進する可能性を証明するために、Klothoマウスを用いて歯周炎と老化との間の関係を検討する。4週齢のKlothoマウスにP.gingivalisを感染させて実験的歯周炎を惹起させて歯周炎による老化の促進を検討する。また3週齢、5週齢のKlothoマウスにP.gingivalisを感染させて老化が歯周炎に与える影響を観察する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き歯周炎患者および糖尿病患者を対象として歯周炎が老化に与える影響を明らかにする。これまでのデータ解析ならびに論文作成のために消耗品、研究打ち合わせお呼び成果発表のための旅費、論文校正などに使用する。また動物実験を行うための経費としても使用する。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Modulation of wnt5a expression by periodontopathic bacteria.2012
Author(s)
39.Nanbara H, Wara-Aswapati N, Nagasawa T, Yoshida Y, Yashiro R, Bando Y, Kobayashi H, Khongcharoensuk J, Hormdee D, Pitiphat W, Boch JA, Izumi Y.
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 7
Pages: e34434
Peer Reviewed
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