2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593071
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
川村 浩樹 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (60256998)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉本 昌弘 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 講師 (30458963)
鴨井 久博 日本医科大学, 医学部, 講師 (20297972)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | メタボローム / キャピラリー質量分析装置 / 唾液採取 |
Research Abstract |
本研究の目的は、メタボローム測定技術を用い唾液による歯周病検査の技術を確立することである。研究者らのこれまでの研究から、厳しい採取条件(前日から食事をとらず、朝9時ごろ採取し、採取前に激しい運動をしない)では、歯周病患者と健常者の間に濃度が有意に異なる代謝物があることがわかっている(Sugimoto et al., Metabolomics, 2010)。本年度は、より現実的な唾液採取のプロトコール確立のため、食事の条件を緩めて、刺激性唾液・安静時(非刺激性)の比較検討を中心に、軽度の歯周病患者の唾液を用いて基礎データ採取を行った。キャピラリー質量分析装置により、唾液から138の代謝物質を同定できた。主成分分析をすると、女性の唾液では刺激性・安静時のスコアプロットが大きく違ったが、男性の唾液では刺激性・安静時のスコアプロットが症例ごとに近くに存在する結果となった。つまり、個人ごとの代謝プロファイルが採取方法の影響よりも明確に唾液に反映されている可能性が示唆された。既存の研究(Takeda et al., NMR Biomed, 2009)では、NMRを用いて少数の代謝物を測定し、刺激性唾液では全ての代謝物濃度が低い結果であった。今回も、尿素など大部分は同様の結果であったが、Takedaらの研究と反して、ラクテートとグリシンに関しては、刺激性唾液の濃度が高いという傾向であった。今後、症例数を増やし再度検証を行う。今後、同様の症例から、(1)同じ条件、(2)食事の条件をより緩めた場合、(3)採取時間を変えた場合の唾液を複数回採取し、定量値の再現性のよい方法を決定する。その後、歯周病患者からの唾液採取を採取し、健常者との比較を行っていく。また、345の未知物質も検出でき、これらは解析に含まなかったが、今後合わせて解析を行い、歯周病に特異的な物質は推定・または同定を行う予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究の実験について、本大学の倫理委員会に申請を行ったが、書類の内容、実験計画について幾つかの修正指摘を受け、承認に予定よりも時間を有し、実質の予備実験が23年度の後半になってしまったため、当初の予定よりもやや遅延している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、本実験のための予備実験を再度行い、唾液採取の条件などを更に詳細に検討する。その結果より、実験のプロトコールを作成し、本実験として日本歯科大学付属病院、日本医科大学付属千葉北総病院歯科において患者より唾液の採取を行い、データの蓄積とさらに詳細な分析を図り、その結果については学会等で随時発表していく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
助成金の内、今年度交付分の次年度使用額については、今年度の研究状況が、大学での倫理委員会承認に時間を要したため、当初の計画より遅延しており、今年度中に計画していた予備実験のために引き続き使用する。次年度の助成金については、以下のような使用目的で使用する。物品費については、検体の採取に必要な消耗品、データ保存、解析用のPCと関連物品などを中心に使用する。旅費については学会参加、発表、また実験についての打ち合わせなどで使用、人件費、謝金については被験者に謝礼として支払うことを予定している。その他としては、通信費や検体の移送、その他の経費としての使用を計画している。
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