2012 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23593072
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Research Institution | The Nippon Dental University |
Principal Investigator |
沼部 幸博 日本歯科大学, 生命歯学部, 教授 (90198557)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
伊藤 弘 日本歯科大学, 生命歯学部, 准教授 (30184683)
石黒 一美 日本歯科大学, 生命歯学部, 助教 (20508486)
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Keywords | 歯学 / 喫煙 / 禁煙 / 歯肉溝滲出液 / 酵素 |
Research Abstract |
歯科治療開始時の患者への禁煙支援は、円滑な治療の遂行、良好な治癒の獲得、疾患再発防止などの観点から重要であり、とくに歯周治療では必須項目である。しかし、喫煙の影響の消失後、すなわち禁煙後の歯周組織の変化や臨床症状の変化に関する研究はまだ少ない。本研究は、禁煙の効果の検索に焦点を当て、唾液やGCF試料解析を通して歯周組織に生じる現象を科学的根拠を用いて提示し、臨床現場での禁煙へのモチベーションに有機的に繋げるために必要なエビデンス構築を目的とした。 2年目となる本年度は、歯周組織が健康と診断された禁煙を予定している5名の喫煙者に被験者として協力を得た後、禁煙に関する啓蒙本やその他の材料を用いて禁煙誘導を行い、その後禁煙を実施させた。それと平行して、唾液中のコチニン濃度の測定および歯肉溝滲出液(GCF)をペーパーストリップスを用いて採取し、GCF中のエラスターゼ、AST、そして遊離ヘモグロビン(f-Hb)などの生化学成分を検索、禁煙の歯周組織の免疫におよぼす影響についての検索に着手した。そして、その結果の一部を国際学会において発表すると共に、論文を作成し、すでに投稿を終えている(査読中)。今後、被験者を増やすと共に、歯周疾患を有している喫煙者の解析およびデータの比較に着手する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前記のように解析手技は確立し、各種の検索が進んで来ているので、継続して研究を進めるが、本年度は予定していた研究費を充当するための被験者数の確保が十分に出来なかったことと、昨年度購入した器具機材、試薬を継続して使用できたので、使用額が当初の予定よりも少なかった。 今後は対象者数をさらに増やして行くことが課題であるが、それが困難な場合には、当初の研究目的に影響が出ないことに配慮しつつ、研究協力に理解を得られる被験者に対するプロトコル、検索方法の変更などが必要である。とくに今まで歯周疾患患者の喫煙者に研究協力の理解を得るためには予想外の時間がかかっており、被験者の募集方法や禁煙誘導手段の見直しを含めた工夫が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度までに示されている興味ある所見として、喫煙者が禁煙することにより、歯周組織破壊に関与する酵素などの量は正常値に近づくことが挙げられる。このことから、歯周疾患を有する喫煙者において同様な現象が生じるならば、喫煙状況下では得られにくい、正常な治療後の反応が起こることが考えられる。 この検証のためには喫煙していながらも禁煙を志向し、なおかつ歯周病を有する被験者候補の数がさらに必要であり、上述のように、今後も、より広く被験者公募を継続して行く予定である。しかしながら、禁煙を決意するとともに臨床研究に協力する歯周病患者の数そのものが思いの外少ない現状と、残された1年間の研究期間を鑑みると、当初予定の被験者数を若干変更し、少ない被験者に対してより多くの解析を行う方略に研究計画をシフトをさせる必要性がある。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本年度はELIZA キットや酵素解析に必要な試薬の購入に研究費の多くを使用する予定であったが、前述のように被験者数が予定より少ない傾向にあったため、新たな購入を行わなくても初年度購入分のもので研究が遂行できた。しかし、次年度は被験者数を若干下方修正する必要があるにせよ、継続して歯周組織が健常な被験者および歯周疾患を有している喫煙者に対する多角的対応と検索を行って行く予定であり,そのための禁煙誘導教材購入、禁煙支援のための資料作成、サンプル採取後の各種解析に必要な 試薬、器具購入の対価として、多くの研究費を充当する必要がある。現在、次の検索のために新たな試薬購入準備が整っており、本年度の早い時点で研究費から多くの支出が予想される。また次年度の後半ではいくつかの学会発表、欧文誌投稿を控えており、ここでも旅費、論文作成費用としても研究費の多くを充当する必要があり、最終的にはすべての研究費を使用する予定である。
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Research Products
(3 results)