2012 Fiscal Year Research-status Report
EGFレセプターシグナルによって誘導されるケモカイン産生が歯周病態に及ぼす影響
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23593077
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Research Institution | Himeji Dokkyo University |
Principal Investigator |
小越 菜保子 姫路獨協大学, 薬学部, 助手 (60509115)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大山 秀樹 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (90280685)
黒田 義弘 姫路獨協大学, 薬学部, 教授 (90093236)
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Keywords | EGFR / 歯肉上皮細胞 / CCL17 / CCL22 / 歯周病 |
Research Abstract |
本年度は歯肉上皮細胞におけるEGFRを介したシグナルに着目した。はじめに,歯肉上皮細胞におけるEGFR発現量をウエスタンブロッティングにより評価した。歯肉上皮細胞は歯肉線維芽細胞と比較して無刺激の培養系でEGFRを同程度発現していた。EGF刺激によるリン酸化EGFRの発現は歯肉上皮細胞においてより強く検出された。またEGFRのリン酸化はその特異的阻害剤 AG1478によって抑制された。さらにEGFRの下流の代表的なシグナル分子であるAKTおよびMAPKのリン酸化も同様な傾向を示した。そこで歯肉上皮細胞におけるEGFRシグナルがケモカイン産生性に及ぼす影響を調べた。まず非免疫系細胞から産生され,体液性免疫応答に関わることが知られているサイトカインについてリアルタイムRT-PCR法を用いて定量解析した。その結果,歯肉上皮細胞においてAG1478でEGFRシグナルを阻害した場合,その濃度依存的にBAFF , TSLP の発現が上昇することが明らかになった。さらにTh2細胞の分化誘導に関わるケモカインであるCCL17(TARC), CCL22(MDC) の発現を定量解析した結果,これらの発現もEGFRシグナルを阻害することによって上昇した。これらのことから、歯肉上皮細胞におけるEGFRシグナルは、体液性免疫応答に深く関わるこれらのサイトカインやケモカインの発現を抑制し、歯周病における免疫応答に影響を及ぼしている可能性が示された。今後,歯肉線維芽細胞および歯肉上皮細胞においてEGFRシグナルによって産生されるケモカインの網羅的解析を行い,さらにこれらの細胞の免疫応答に及ぼす影響を明らかにしていく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯肉上皮細胞においてEGFRを介したシグナルによって産生が制御されているサイトカインおよびケモカインを見出すことができたことから,研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
歯肉線維芽細胞および歯肉上皮細胞においてEGFRシグナルがかかわるケモカイン産生性の網羅的解析を行う。さらにその結果をふまえこれらの細胞の免疫応答に及ぼす影響を明らかにしていく予定である。一方、EGFRのシグナルを阻害するペプチドを合成しその作用を明らかにし、免疫応答性の人為的調整の可能性を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費は,主に研究を遂行するために必要となる消耗品 1)細胞および細胞培養に必要な試薬,培地,消耗品,2)血球分離おける試薬(磁気ビーズ分離システムを含む),3)各種ケモカイン発現を定量するための生化学的実験試薬・抗体類,分子生物学的実験試薬,4)合成オリゴペプチド,等を購入するため使用する。 また,本研究によって得られる成果発表のための費用 1)学術誌において発表を行なうための英文校正料および投稿料,2)学会発表を行なうための出張旅費(海外出張を含む),および3)情報収集のための調査旅費,としても使用する。
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