2011 Fiscal Year Research-status Report
視床下部CRH遺伝子発現を指標とした顎顔面領域における慢性痛発症機構の解明
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23593082
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
笠原 江利子 東北大学, 歯学研究科(研究院), 大学院非常勤講師 (50597325)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
庄司 憲明 東北大学, 大学病院, 講師 (70250800)
笹野 高嗣 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (10125560)
市川 博之 東北大学, 歯学研究科(研究院), 教授 (20193435)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | CRH / 急性痛 / 慢性痛 / ストレス / c-fos |
Research Abstract |
生理的な痛みは生体に異常を知らせる重要な警告信号であるが、慢性痛は生体に器質的変化がないにもかかわらず、慢性的に続く警告信号の役割を果たさない病的疼痛で、QOLの低下をきたす。近年、非定型歯痛、舌痛症など、顎顔面領域の慢性痛患者は増加傾向にあり社会問題となっている。しかし、慢性痛の発症機序および治療法は確立されていない。本研究において、我々は痛みをストレッサーとしてとらえ、これが痛覚伝達系を介した組織障害・炎症に伴う身体的ストレスに加えて情動系の興奮を惹起することに着目し、痛みストレスが視床下部-下垂体-副腎系、視床および大脳皮質に及ぼす影響を解析し、診断及び治療法の開発を目指すことを目的とする。痛みストレスが視床下部-下垂体-副腎系などの脳内に及ぼす影響について調べるため、左舌にカプサイシンを注入した急性痛モデルを作製した。ラットをカプサイシン注入前および注入から5、15、60分後の群に分け、パラホルムアルデヒド固定後、脳を摘出した。OCTコンパウンドにて包埋、急速凍結し、クライオスタットで30μmの浮遊切片を作成し、神経興奮マーカーであるc-fos抗体を用いて、免疫組織化学染色を行った。その結果、カプサイシン注入前は視床下部の室傍核(Paraventricular Nucleus; PVN)にc-Fosの明らかな発現は認められなかったが、15分後に強く発現し、60分後にはやや減少した。ラットを組織観察と同様の群に分け、視床下部の室傍核を摘出した。この時、同等量を取り出すように円柱のパッチを用い試料を採取し、その後、RNA抽出した。mRNAからcDNAを作成し、Bio-RadCFX96を用いReal time RNAを行い、c-fosのmRNAを定量した。c-fos遺伝子発現は、15分後にコントロール群の1.3倍、60分後には1.8倍に増加した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
東日本大震災の影響による顕微鏡の破損に見舞われ研究の遂行が危ぶまれたが、平成23年度中に使用可能となり、組織研究の結果を出すことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、ラットの三叉神経を結紮した慢性痛モデルを作製し、平成23年度と同様にc-Fosの免疫組織染色およびc-fosのmRNA発現の定量を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、平成24年度請求額と合わせ、次年度に計画している研究の遂行に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)