2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23593085
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
廣冨 敏伸 新潟大学, 医歯学系, 助教 (00345513)
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Keywords | 歯の喪失 / 口腔内リスク / 高齢者 / コホート |
Research Abstract |
(目的)8020達成者を対象に、5年間の歯の喪失について明らかにする。 (方法)1998~2008年の経年調査で対象とした新潟市在住高齢者のうち、80歳時点(2008年)で20本以上の歯を有していた8020達成者83名について調査した。得られたデータを80歳時のものと連結し、5年間の歯の喪失について分析した。 (結果)対象者83名のうち、歯の喪失は45名(54.2%)に認められた。それらのうち15名では3歯以上の喪失が認められた。80歳時に残存していた2,055本(一人平均24.8本)のうち、5年間で115本(一人平均1.39本)が喪失していた。喪失割合を歯種別に比較すると、犬歯では最も低く(325本のうち10本喪失(3.1%))、大臼歯で最も高かった(519本のうち42本喪失(8.1%))。歯冠の状態で比較すると、健全歯で低く(1,048本のうち23本喪失(2.2%))、全部金属冠およびブリッジの支台歯で高かった(445本のうち42本喪失(9.4%)、および235本のうち36本喪失(15.3%))。また、部分床義歯の鉤歯で喪失割合が高かった(78本のうち13本喪失(16.7%))。さらに、80歳時の残存歯数で喪失歯の割合を比較すると、残存歯20本者では13.3%であったのに対して、21本以上の者では3.9%と大きく減少していた。 (考察および今後の課題)本研究の結果から、大臼歯、ブリッジ支台歯および部分床義歯の鉤歯は歯の喪失リスクの高いことが示された。これらのことは、歯科治療にはメリットだけでなくデメリットも存在すること、また大臼歯について補綴処置を行う場合には長期的な歯の寿命(予後)について注意を払う必要があることを示唆するものである。これらの所見は8020達成者という歯科疾患に対する抵抗性の高い集団について得られたが、より抵抗性の低い一般的な集団では、これらの傾向はより顕著に認められるであろうと推測される。
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