2013 Fiscal Year Annual Research Report
2型糖尿病患者のCKD病態に対する抗菌的歯周治療の有用性に関する無作為化比較試験
Project/Area Number |
23593086
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
小川 祐司 新潟大学, 医歯学系, 准教授 (70345510)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮崎 秀夫 新潟大学, 医歯学系, 教授 (00157629)
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Keywords | 2型糖尿病 / 歯周病 |
Research Abstract |
本研究目的は無作為化比較試験によって、2型糖尿病患者に対する抗菌的歯周治療がアディポネクチン濃度と慢性腎臓病(CKD)病態に及ぼす影響を定量的に検証し、歯周病と全身の健康の解明を目指すことである。以下、最終年度としてまとめを記す。 対象・方法:詳細割愛 結果:分析対象者:治療群17名(抗菌剤使用7名、未使用10名)、未治療(対照)群5名(データ不備3名、死亡1名を除外)。治療群においては、歯周ポケット4mm以上部位の有意な減少(P<0.001)と、歯肉出血部位の減少(P<0.01)が認められた。また、HbA1cの改善傾向を示したものの、eGFRに変化は得られなかった。MCP-1は24週において11%の減少が見られたが、TNF-alpha、高感度CRPほかアディポカインについては、歯周治療による有意な状態改善は認められなかった。歯周病原細菌数については、現時点で分析中のため、詳細は別途論文投稿にて報告する。 考察:本研究結果から、歯周治療による2型糖尿病患者のCKD病態改善への促進的な作用は確認されなかった。対象患者の病態特性(多くの患者がeGFR正常域)、研究参加要件を満たす対象者の抽出困難(外来患者のみ対象)、さらに24週にわたる長期研究への拒否感など必要十分な対象者確保が難しい研究制約が要因として挙げられる。しかしながら、歯周治療による歯周疾患の改善とHbA1cの改善傾向が見出されていることから、糖尿病患者に対する歯周ケアについては、従来の研究報告にあるべくその意義が確認された。本研究では、抗菌剤併用有無について歯周治療がもたらす作用を検討したが、対象者の歯周疾患罹患の重症度が大きくなかったため、有意な改善には結びつかなかった。以上を踏まえると、真に病態に罹患している患者を抽出することが肝要であり、入院患者を含めた広義の糖尿病患者を対象にしていくことが今後の課題と考えられる。
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