2011 Fiscal Year Research-status Report
歯科衛生士の離職をもたらす因子の解析と,離職防止の方略の策定
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23593090
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
竹本 俊伸 広島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (00236506)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 離職要因 / 歯科衛生士 / コミットメント / 就労環境 / キャリア教育 |
Research Abstract |
歯科衛生士不足は歯科医療業界の大きな問題であり,その最大の原因の歯科衛生士の早期離職について,その原因を解明し,離職防止策を検討することが本研究の目的である。平成23年度は,平成22年度に前倒しで行った広島県に限定した予備調査について,その結果の詳細な分析を行い,調査結果を全国学会で発表し,専門家とディスカッションを行い,意見を求めた。この結果,調査の実施法や調査内容に関して数多くの改善点が明らかになった。まず,各歯科衛生士の勤務している歯科医院での職務満足度の低さが離職につながっている,という予備調査での仮説は,離職要因としての可能性は低く,その代わりに,歯科衛生士の各種コミットメントが影響している可能性が示唆された。さらに,本調査では,結婚,出産,育児の時の,歯科医院における継続勤務のしやすさ,特別休暇の取りやすさ,さらには,各歯科衛生士の,歯科医院の勤務環境に対するイメージなどの項目を充実させることが必要で,質問項目には,「無気力回答」を除外するための「反転項目」をいくつか挿入することも要求された。このような改良点に基づき,新たな調査用紙を作製した。本調査の前に,この調査用紙について「プリテスト」を行い,協力者から回答のしやすさ,内容のわかりやすさなどについての意見を募集し,調査用紙の最終的なブラッシュアップを行った。ここまでの作業が予想より早く進行したため,急遽,本来の予定(平成24年度実施)から前倒しして,平成24年3月に本調査を実施した。これは,歯科医院のスタッフの入れ替わりによる混乱が多い年度初頭の調査を避ける意味も兼ねている。約2,000名の開業歯科医院勤務の歯科衛生士に対して郵送による無記名自記式調査を実施し,社会調査研究として十分な数である556件の回答(回収率=約28%)を得ており,平成23年度末現在,回答内容を集計ソフトに入力途中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)「一部地域の開業歯科医院に於ける就労歯科衛生士に対する予備調査」は,研究室の研究費で前倒して実施した広島県内での調査結果がそのまま利用可能となり,その結果,その後の結果解析はかなり早く進行した。その結果について,「日本歯科医学教育学会」「日本歯科衛生学会」という,本研究内容に関連の深い全国学会での発表を行い,他の研究者から数多くの意見を得た。その結果,平成24年度の実施予定であった,2,000名の歯科衛生士に対する本調査は23年度末に前倒しすることができた。2)全国の歯科衛生士養成校における教育態勢,キャリア支援態勢に関する調査は,本来であれば平成23年度内に実施する計画であったが,その後の歯科衛生士養成校の教育状況の精査により,平成23年度末に多くの学校で3年制教育の卒業生の初めての輩出があり,その就職支援や国家試験対策などが進行中で,質問紙調査による正確な実施状況の把握が困難と考えられたため,平成24年度前半での調査の実施へと変更した。この調査は全数が約150件と少ないため結果の解析が比較的容易であり,また,当初の研究計画から,この調査自体は最終的な離職防止策の立案に役立てることを目的とし,平成24年度内に結果が得られば何ら問題がなかった。したがって,この調査の実施遅延は研究の進行の妨げにはならず,逆に正確な調査を実施できることによってもたらされるメリットが大きいことから,あえて次年度への繰り越しを決断したものである。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度には,以下の研究を予定している。まず,平成23年度に前倒しして実施した,全国の歯科衛生士に対する質問紙調査は,回答内容を入力途中であるため,引き続き,読み取りソフトウェアを用いての入力を実施する。入力を終了後,入力内容を確認し,回答内容の集計およびIBM社統計解析ソフトSPSSによる統計解析を実施する。これにより,就労条件,個々の就労に対するモチベーション,就労支援態勢,コミットメントなどと,各個人の職務継続や離職に対する考え方との関係を明らかにしていく。また,平成23年度から繰り越された全国の歯科衛生士養成校における教育態勢,キャリア支援態勢に関する調査については,調査を阻害する因子が今年度は解決されるため,何の問題もなく実施可能である。そこで,平成24年度前半に全国の養成校に対しての全数調査を行う。内容は,各学校における職務継続に関する教育内容,就業へのモチベーション付けの状況,卒業後のフォローアップの状況などで,回収率は60-70%程度(100校前後)を予想している。平成24年度内に回答内容を集計,解析する。以上2つのの解析結果を全国における専門学会で発表あるいは学会誌に投稿し,他の研究者からの意見を求める。その結果,さらなる調査が必要と考えられる場合には,追加調査を立案し,可及的に早く実施する。平成25年度には,これらの結果を総括し,歯科衛生士の離職防止策を立案する。その結果を各種専門学会で発表あるいは学会誌に投稿し,他の研究者からの意見を求める。このようなプロセスで研究の解析内容をブラッシュアップし,最終的な成果報告書として関係各所(各歯科医師会,歯科衛生士会など)への配布を計画している。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本来であれば平成23年度内に実施予定であった,全国の歯科衛生士養成校における教育態勢,キャリア支援態勢に関する調査を,「現在までの達成度」に記載した理由で,平成24年度へと変更したことから,次年度に6万7千円余の繰越金を生じた。平成24年度の使用計画は以下を予定している。(1)平成23年度に前倒しして実施した本調査の結果を入力し,集計および統計解析を行うための印刷費,PCとソフトウェアのメインテナンス費用(2)平成23年度から繰り越された,全国の歯科衛生士養成校への調査費用(印刷費,郵送料など)(3)上記2つの研究結果を公表し他の研究者からの意見を求めるための学会費,投稿料,印刷などに関わる費用(4)本調査の解析結果の検討により,追加の調査が必要とされると判断し,平成24年度中に実施できた場合は,追加調査に伴う費用(印刷費,郵送料など)も考えられる。
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Research Products
(2 results)