2013 Fiscal Year Annual Research Report
口腔細菌による全身性疾患に対する定着・感染機構を応用した宿主のリスク診断法の開発
Project/Area Number |
23593093
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
山口 泰平 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (80230358)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉元 康志 鹿児島大学, (連合)農学研究科(研究院), 教授 (10100736)
於保 孝彦 鹿児島大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (50160940)
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Keywords | 口腔細菌 / 感染 / 初期付着 / 付着因子 / 細胞外基質 / フィブロネクチン |
Research Abstract |
これまでに口腔レンサ球菌の一種であるStreptococcus intermediusが唾液凝集素に付着し、唾液凝集素の量は個人差が大きいことを示した。次にGranulicatella adiacens とGranulicatella para-adiacensのフィブロネクチン結合タンパクを同定し、ヒトトランスフェリンが鉄イオン依存性に結合を阻害している分子機序の一部を明らかにした。H25年度はさらにFusobacterium nucleatumについて解析を行った。本菌は口腔内の定着に際しレンサ球菌などのアーリーコロナイザーとPorphyromonas gingivalisなどのレイトコロナイザーとの橋渡しを担っている、と同時に、歯、粘膜表面の唾液成分と付着する。一方で唾液アミラーゼは銅イオン存在下で濃度依存的に2量体を形成した。ヒト唾液中の銅イオン濃度は個人差があり、それに伴って単量体と2量体の比率が異なっていた。F. nucleatum(ATCC10953)は唾液アミラーゼに付着し、2量体に対する付着量は単量体よりも多かった。用いたアミラーゼ阻害剤4種はいずれもF. nucleatumとアミラーゼの結合を有意に阻害したが、acarboseが最も強く阻害し、vogliboseはわずかな阻害に留まった。これらの阻害傾向はアミラーゼの酵素活性阻害効果と類似し、単量体、2量体とも同一傾向であった。また、F. nucleatumはアミラーゼの酵素活性を濃度依存的に阻害した。以上の結果はF. nucleatumは唾液アミラーゼの酵素活性部位を認識して結合することを示唆していた。今後、菌側の付着因子を同定してアミラーゼとの結合機構を解明すること、各個人の唾液の銅イオン濃度とF. nucleatumを含めたプラークの細菌組成、ひいては歯周病との関連について解析を進める予定である。
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Research Products
(4 results)