2011 Fiscal Year Research-status Report
歯科医師および歯科医療施設の地域分布とその影響要因に関する地域構造的分析
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23593095
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大川 由一 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (20211097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 創一郎 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (90433929)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯科医師 / 人口 / 無歯科医地域 / 専門医 / 矯正歯科 |
Research Abstract |
本年度は,過去の歯科医師養成政策よる歯科医師数の増加がわが国の歯科医師の地域分布にどのような影響を与えたかを既存資料により検討した。まず,2010年時点の全国1,750市区町村を基準として,1980年から2010年までの診療従事歯科医師数と人口からローレンツ曲線とジニ係数を求めた。その結果,1980年から2010年のまでの30年間にローレンツ曲線が次第に対角線に近づくとともにジニ係数が0.290から0.214に減少し,歯科医師分布の不平等度は縮小していた。とくに1980年から1990年の間はジニ係数が最も減少し,1970年代の歯学部増設や入学定員増といった歯科医師養成政策は,地理的分布の均等化に一定の効果があったといえる。1990年から2000年にジニ係数の減少率はいったん低下したが,2000年から2010年までの10年間は減少率が再度拡大した。2010年時点の自治体人口規模別に歯科医師数を調査したところ,無歯科医地域は人口規模5,000人未満の自治体に集中していた。人口規模5,000人未満の自治体では過去30年間に相対的に歯科医師数が増加した地域もあるが,23.1%の町村では無歯科医のままであり,その割合は2000年時点とほとんど変わっていない。今後,歯科的医療圏を考慮に入れつつ,こうした歯科医師過疎地域への対応策が必要となろう。今回,さらに歯科専門医としての矯正歯科医師の地理的分布について,医療ニーズを考慮に入れ対象人口を5~40歳として上記と同様の方法で2010年について検討した。ジニ係数は,日本矯正歯科学会認定医で0.615,主として矯正歯科を標榜している歯科医師で0.523となり,一般歯科を標榜している歯科医師0.176と比較しきわめて大きく,都市部に集中している実態が確認された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯科医療供給体制の地域分布(診療従事歯科医師と歯科専門医)については,本年度中にデータ収集が終了し,その解析が当初予定通り順調に進展している。これらの成果については学会発表および論文作成に向けて準備をしている段階である。歯科医療施設についても資料が揃い,データの確認をしているところである。研修歯科医師を対象とした質問紙調査については倫理委員会での承認や協力施設への調査依頼に時間を要した関係で実施時期が年度末となったが,本年度の調査は首都圏,関西,中国地域の歯科大学・歯学部研修施設の約300名を対象に実施され,データ入力作業は順調に実施される状況にある。
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Strategy for Future Research Activity |
歯科医療供給体制(主として診療従事歯科医師,歯科線も(2))の地域分布については,データ解析が順調に進展していており,次年度に学会発表ならびに査読付雑誌への投稿を計画中である。さらに,地域分布に影響する要因についても他の統計資料を参考に解析を進めたい。歯科医療施設についても資料が揃い,データの確認とともに解析を進める予定である。研修歯科医師を対象とした質問紙調査については,全国な調査へと発展させるため調査地域を広げた上で追加協力施設への調査依頼を行い,引き続きデータを収集する計画である。得られた調査データについては順次入力・加工処理を行う体制が整っている。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
歯科医療供給体制(主として歯科医師)の地域分布の動向については,学会ならびに査読付雑誌への研究成果発表を計画しているため,これらに要する旅費,宿泊費,文献等複写費,英文校閲費,研究の打合せ交通費などへの支出を予定している。また,昨年度に引き続き,研修歯科医師を対象とした質問紙調査を実施するため,調査協力者への謝礼やデータ入力・資料整理業務に対する謝金が見込まれる。
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Research Products
(1 results)