2012 Fiscal Year Research-status Report
歯科医師および歯科医療施設の地域分布とその影響要因に関する地域構造的分析
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23593095
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Research Institution | Chiba Prefectural University of Health Sciences |
Principal Investigator |
大川 由一 千葉県立保健医療大学, 健康科学部, 准教授 (20211097)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平田 創一郎 東京歯科大学, 歯学部, 准教授 (90433929)
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Keywords | 歯科医師 / 歯科医療施設 / 歯科診療所 / 人口 / 地域偏在 |
Research Abstract |
本年度は,主として,これまでの歯科医師数の増加が,わが国の歯科医療施設(とくに歯科診療所)の地域分布にどのような影響を与えたかを検討する目的で既存資料により検討した。具体的には2010年時点の全国1,750市区町村を基準として,2000年から2010年までの歯科診療所数と人口からローレンツ曲線とジニ係数を求めた。その結果,2000年から2010年のまでの10年間にローレンツ曲線が徐々に対角線に近づき,ジニ係数では2000年0.172,2005年0.164,2010年0.153と減少し,歯科診療所の分布が均等化していた。これは歯科医師数の増加により歯科診療所の地理的分布においても改善効果がみられたことを示唆している。人口10万対歯科診療所数は,2000年49.9,2005年52.2,2010年53.4と増加してきたが,自治体を人口規模別に歯科診療所数について調査したところ,歯科診療所のない地域は人口5,000人未満の自治体に集中していた。人口5000人未満の自治体の21%については,2010年時点で歯科診療所が存在していなかった。歯科診療所が存在しない自治体の割合は2000年以降ほとんど一定であり,改善には一定の限界があるといえる。今回の分析により,歯科医師および歯科診療所の増加に伴い,その地域偏在は徐々に改善されていることが示唆された。今後は人口過疎地域の歯科医療アクセスの実態を個別に把握するとともに,必要に応じて対策を立てる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯科医療供給体制(歯科医師,歯科医療施設)の地域分布については,データ収集とその解析が予定通り順調に進展している。昨年度実施した矯正歯科医専門医の地域分布の現状については査読付雑誌へ投稿中である。また,歯科医師および歯科診療所の地域分布の推移についての研究結果は,国内および国際学会において発表し,今年度前半での論文投稿に向け準備中の段階にある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,歯科専門医の一つである歯科口腔外科専門医についても二次医療圏ごとに分布の実態を専門学会が提供している既存データから分析する予定である。研修歯科医師を対象とした質問紙調査については,昨年度に続き追加協力施設への調査依頼を行い,多くのデータを収集した。今後は,データの入力作業を進め,昨年度のデータとともに解析し,結果報告向け取組む予定である。とくに,アンケートから得られる多くのデータをどのように解析し,研修歯科医師の視点からみた地域偏在の要因を抽出,総括していくかが一つの課題である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度では,(1)歯科医療供給体制(歯科医師および歯科医療施設)の地域分布の動向と(2)歯科医師卒後臨床研修医を対象とした将来の進路に関するアンケート調査結果について,学会ならびに査読付雑誌への研究成果発表を計画している。したがって,これらに要する旅費,文献等複写費,英文校閲費,研究の打合せ交通費,研究成果報告書などへの支出を予定している。また,データ入力・資料整理業務に対する謝金が見込まれる。
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Research Products
(2 results)