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2011 Fiscal Year Research-status Report

高齢者の造血幹細胞移植における誤嚥性肺炎発症メカニズムの解明とその予防法の開発

Research Project

Project/Area Number 23593098
Research InstitutionOhu University

Principal Investigator

清浦 有祐  奥羽大学, 歯学部, 教授 (90194951)

Project Period (FY) 2011-04-28 – 2014-03-31
Keywords口腔カンジダ症 / Candida albicans / 誤嚥性肺炎 / 抗菌ペプチド / 口腔ケア
Research Abstract

本研究は、高齢者の造血幹細胞移植に伴う免疫抑制薬の投与と微生物感染による口内炎と誤嚥性肺炎発症に対する科学的根拠に基づく予防法を確立するための前段階として、口腔カンジダ症のマウスを用いて、免疫抑制薬の投与が口腔粘膜にどのような傷害をもたらし、 Candida albicans の感染をいかに増悪していくのかを明らかにするのが目的である。 本年度は異なる3種類の免疫抑制剤(プレドニゾロン、シクロスポリンA、メトトレキサート)を用いた口腔カンジダ症モデルの作製を試みた。その結果、C.albicansの舌塗布前日にプレドニゾロンによる免疫抑制処置を行ったマウスにおいて、感染後3日目に顕著な体重減少を認め、舌では10000オーダーの菌の定着がみられた。さらにこの時、マウス舌表面では、ヒトの口腔カンジダ症に準ずる病変形成(びらん・潰瘍・白苔)を認めた。他の二剤(シクロスポリンAおよびメトトレキサート)による免疫抑制処置をおこなった群については、処置後、十分な体重減少が確認されながらも、臓器における菌の定着は不良(多いものでも1000オーダー)であり、舌表面の病変形成も認められなかった。これら二剤においては、薬剤の複数回接種および高用量接種も試みたが、いずれも病変形成に至る結果は得られなかった。すなわち、プレドニゾロンを除く二剤(シクロスポリンAおよびメトトレキサート)においては、マウスのカンジダ症モデルの病態を個体の身体的変化により評価することが困難であることの他、病変形成自体の難しさ並びに個体間における薬物の効果にばらつきが大きいこと、さらには薬剤の有害作用の問題点が示され、マウスにおける口腔カンジダ症のモデル作製には困難を有する薬剤である事が示された。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

マウスにおける口腔カンジダ症のモデル作製には、プレドニゾロンが最も適していることが分かり、次の段階である口腔カンジダ症とそれに続く誤嚥性肺炎の予防および治療法の開発に進むことができるから。

Strategy for Future Research Activity

高齢者の唾液もしくは装着していた義歯表面から分離・保存した Candida albicans による口腔カンジダ症と誤嚥性肺炎の治療に用いる抗菌ペプチドの検討を口腔カンジダ症のマウスモデルを使用しておこなう。このマウスモデルで得られた結果に基づいた抗菌ペプチドの選択をすることで、抗真菌薬使用よりも安全で有効性の高い予防法および治療法の開発ができる。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

1. メス5週令のICRマウスにプレドニゾロンを1回 200 mg/kgで腹腔注射する。24時間後、 C. albicans 菌液に浸した綿棒でマウスの口腔内を拭って口腔内に菌を定着させる。感染7日後まで経日的にマウスの頚椎を脱臼させてから、舌と肺を摘出する。(1)マウスの口腔内の観察:マウスの口腔内は経日的にデジタルカメラで記録して、免疫抑制薬の投与によるC. albicansの感染増悪の肉眼所見をとる。(2)舌の採取と炎症性サイトカインの測定:C. albicansを口腔内に感染させた後は経日的に舌を採取して、生理食塩水中でほぐしたものをサンプルとして炎症性サイトカインの産生量をELISA法で測定する。2. C. albicans 以外のCandida spp.による口腔カンジダ症の発生とそれに伴う誤嚥性肺炎の発症:免疫不全患者における口腔カンジダ症では従来から多かった C. albicans 以外の Candida spp. が原因菌となる報告が増加している。そこで、1.と同様の方法で、C. glabrata, C. krusei, C. parapsilosis 等を免疫抑制薬投与マウスの口腔に感染させて、口腔カンジダ症と誤嚥性肺炎の病態形成に及ぼす菌種による相違を検討する。3. 口腔カンジダ症と誤嚥性肺炎の予防および治療法の検討: C. albicans のなかには、 in vitroで抗真菌薬 itraconazole に耐性であった菌株もあるので、抗真菌薬を用いない予防法および治療法を開発する。具体的には、1.で得られた結果をもとに、抗菌ペプチドである LL-37、ヒスタチン、ディフェンシンなどをマウスの口腔内に塗布または静脈注射で投与、あるいは溶液を飲ませるなどして、組織観察、炎症性サイトカインの定量を行い、非投与群と比較する。

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Published: 2013-07-10  

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