2013 Fiscal Year Annual Research Report
高齢者の造血幹細胞移植における誤嚥性肺炎発症メカニズムの解明とその予防法の開発
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23593098
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Research Institution | Ohu University |
Principal Investigator |
清浦 有祐 奥羽大学, 歯学部, 教授 (90194951)
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Keywords | 口腔カンジダ症 / Candida albicans / 誤嚥性肺炎 / 炎症性サイトカイン / 口腔ケア / 免疫抑制剤 |
Research Abstract |
本研究は、高齢者の造血幹細胞移植に伴う免疫抑制薬の投与と微生物感染による口内炎と誤嚥性肺炎発症に対する科学的根拠に基づく予防法を確立するための前段階として、口腔カンジダ症のマウスを用いて、免疫抑制薬の投与が口腔粘膜にどのような傷害をもたらし、 Candida albicans の感染がいかに増悪していくのかを明らかにするのが目的である。 本年度は、ICR雌マウスにプレドニゾロン、メトトレキサートおよびシクロスポリンを投与し、その翌日に C. albicans OH-1 株を綿棒によってマウス口腔内に感染させた。その後、マウスの舌を中心とした口腔症状を観察、さらに舌組織中の C. albicans 菌数を測定した。その結果、プレドニゾロン投与マウスでは、感染3日後をピークとして舌表面に著明な白苔が出現し、ヒト口腔カンジダ症によく類似した症状を示した。加えて、プレドニゾロンの増量、複数回投与では舌表面に強い病変が誘導された。この結果は、同免疫抑制薬の投与量、投与間隔などを修正することで、より安定した口腔カンジダ症を開発できる可能性を示唆する。一方、メトトレキサートおよびシクロスポリン投与では舌組織から C. albicans が検出されたが、典型的なカンジダ症類似の症状が出現することはなかった。以上の結果から、全身的な免疫抑制よりもステロイド系抗炎症薬として早期に効果を示すプレドニゾロンの方が C. albicans の定着がしやすくなることが考えられる。
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